著者
北川 敏一 平井 克幸 岡崎 隆男
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

三重項カルベンは、中性2配位の炭素原子に2個の不対電子をもつ有機分子種であり、安定化が困難な活性種の一つである。本研究では、三重項カルベンの長寿命化を目的として、その前駆体を我々が開発した剛直な「分子三脚」を用いてAu基板表面に自己組織化単分子膜として固定した。膜上への光照射により発生したカルベンは基板上への束縛をうけて2分子的分解反応を起こさないため、溶液中で発生させた場合と比べて安定化することが確認できた。
著者
岡崎 隆男
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

新材料の有機合成や体内での代謝反応や機能発現機構には、カルボカチオンが関与する反応が重要である。そこで、超強酸を使って多環式芳香族スーパー求電子化合物の効率的な発生方法を開発し、直接NMR観測とDFT計算による電子構造の解明と有機合成反応への応用を検討した。Benzo[ b, d] furan, benzo[ b] naphtho[ 1, 2-d] furan, benzo[ b] naphtho[ 2, 3-d] furan, benzo[ b] naphtho-[ 2, 1-d] furan, dinaphtho[ 2, 1-b : 1', 2'-d] furan, benzo[ b] naphtho[ 1, 8-de] pyran, dibenzo[ d, d'] benzo-[ 1, 2-b : 4, 3-b'] difuran, dibenzo[ d, d'] benzo[ 1, 2-b : 4, 5-b'] difuran, naphtho[ 2, 1-b : 3, 4-b'] bisbenzofuran, benzo[ 2, 3][ 1] benzofuro[ 4, 5, 6-kl] xanthene, 9, 9-dimethyl-9H-9-silafluoreneを脱ジアゾ環化反応等によって合成した。超強酸を用いてカルボカチオンを発生させ、NMR観測した。プロトン化カルボカチオンの陽電荷は酸素原子が隣接したベンゼン環への非局在化に限られていた。また、NICS値からフラン環の芳香族性が高いほどカルボカチオンになりやすいことが示唆された。