著者
原田 喜男 豊島 久美子 岡本 孝夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Supplement1, pp.452-459, 1987-05-31 (Released:2011-08-04)
参考文献数
6

6315-S (Flomoxef) 1の静脈内投与による腎毒性を, ウサギを用いて, 1,000mg/kg単回投与試験により検索し, 対照薬Cefazolinsodium (CEZ) によるそれと比較した。6315-S投与群では, 組織学的に, 近位尿細管上皮細胞の一部に, わずかに壊死を認めたが, 尿検査や血液生化学的検査値に影響をほとんど認めなかった。他方, CEZ投与群では。近位尿細管上皮細胞の壊死やカルシウム沈着が著明であり, 蛋白尿や顆粒状円柱・上皮円柱の尿中への出現, 血漿中クレアチニン・尿素窒素値の上昇など腎毒性作用が明らかであった。以上の成績から, 6315-Sの腎毒性作用はCEZに比して明らかに弱いものと判断された。