著者
原田 喜男 豊島 久美子
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement7, pp.1202-1225, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
17

6059-Sの静脈内投与による腎耐生を, 家兎を用いた単回投与および7日間連続投与試験によって, 他のCephalosporin系抗生剤投与により惹起される陣害と比較した。単回投与試験の結果, 6059-S投与群および対照楽として用いたCephalothin (CET) とCefmetazole (CMZ) 投与群には2,000mg/kg/日の投与量において腎障害を認めなかった。これに対しCefazolin (CEZ), efotiam (CTM) およびCefotaxime (CTX) 投与群にはBUNやクレアチニンの上昇, 尿中への顆粒円柱・上皮円柱等の出現, 蛋白・糖の出現, 形態学的に腎皮質近位尿細管上皮細胞の変性・壊死・石灰沈着, 遠位尿細管腔内に硝子様円柱の存在等の所見が認められた。7日間連続投与試験においても, 6059-SおよびCET投与群には腎障害を認めなかったが, CEZ 400mg/kg/日群では尿中への顆粒円柱・上皮円柱の出現が軽度に認められた。以上の成績より腎障害作用を各薬剤間で比較すると, 雄においてはCTM>CEZ>CTX>CMZ≒CET≒6059-Sであり, 雌においてはCEZ≧CTM>CMZ≒CET≒6059-Sであった。
著者
原田 喜男 豊島 久美子 岡本 孝夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Supplement1, pp.452-459, 1987-05-31 (Released:2011-08-04)
参考文献数
6

6315-S (Flomoxef) 1の静脈内投与による腎毒性を, ウサギを用いて, 1,000mg/kg単回投与試験により検索し, 対照薬Cefazolinsodium (CEZ) によるそれと比較した。6315-S投与群では, 組織学的に, 近位尿細管上皮細胞の一部に, わずかに壊死を認めたが, 尿検査や血液生化学的検査値に影響をほとんど認めなかった。他方, CEZ投与群では。近位尿細管上皮細胞の壊死やカルシウム沈着が著明であり, 蛋白尿や顆粒状円柱・上皮円柱の尿中への出現, 血漿中クレアチニン・尿素窒素値の上昇など腎毒性作用が明らかであった。以上の成績から, 6315-Sの腎毒性作用はCEZに比して明らかに弱いものと判断された。