著者
中西 喜彦 岡本 正幹
出版者
九州大學農學部
雑誌
九州大学農学部学芸雑誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, 1964-12
被引用文献数
1

本実験は,幼雛の恒温性の発達に対する低温環境の影響を知るために行なつた.すなわち白色レグホン種(WL),横斑プリマスロック種(BPR)およびこれらの交雑種(BPR×WL)の雄雛を,20~24℃と30~33℃の環境温度で,孵化時から4週齢時まで飼育した.その間,死亡率,直腸温,体重および甲状腺I^131-放出率などを測定した.その結果はつぎのとおりである. 1) 飼育期間中の雛の死亡率は,30~33℃ 区では非常に低いのが認められた.しかし20~24℃区では,どの品種においても高く,低温環境に対する抵抗性の点では,BPRがWLよりも強いことが観察された. 2) 品種による体温の違いは,30~33℃区では認められなかつた.しかし20~24℃区では,WLが1日齢時でのみBPRやBPR×WLよりも有意に高い値を示した. 3) 20~24℃区の雛は30~33℃区の雛よりも,1週間ほど恒温性の発達が早く,約2週齢で成鶏の体温の水準に達した.しかしながら成長の点では20~24℃区のものの方が有意に低い値を示した. 4) 甲状腺I^131-放出率については両温度区の間での差は認められなかつた.一方30~33℃区においては,BPRがWLやBPR×WLよりも有意に高い値を示した.また甲状腺重量は,BPRでのみ20~24℃区の雛が30~33℃区の雛のものより重い値を示した.