著者
八藤後 忠夫 斉藤 修平 佐藤 和平 岡本 紋弥
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.239-249, 2017-03-30

すでに廃止された学校宿直業務の体験者を対象とする聞き書きをもとに,現在の学校教育にかかわる示唆的部分を抽出し検討した.以下のような結果が得られた.1)宿直が副業的な業務でありながらも付加価値的に教員間や地域との豊かな交流を保障していたこと.2)宿直廃止後には地域性の変貌とともに教育改革や課外活動の業務が肥大し,教員の負担度や疲弊性を増しつつあること.その傾向は教員の疲弊性に加えメンタルヘルスの危機的情況にも繋がっていると推察されること.3)宿直業務当時における教員の“地域や学校全体を含む交流と憩いの場”の再構築が望まれるが,この課題克服に関しては教育労働の本質的検討と行政による学校教育実践上のシステム転換の検討が不可欠であると推察されること.
著者
斉藤 修平 佐藤 ひろみ 中林 みどり 岡本 紋弥
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.129-140, 2014-03-01

元荒川とその周辺の田圃、用水などはかつて川魚資源の宝庫であった。そこから捕獲された淡水魚介類は人々の食生活を彩る食材であった。その食材は伝承された加工・調理によって食卓を賑わしてきた。同時に元荒川沿いに点在する川魚料理店には、元荒川とその周辺で取られていた淡水魚介類が持ち込まれ、おなじく活用されてきた。 本稿では、元荒川沿いでいまも川魚料理店として営業をしている小島家 (岩槻区大戸) 、鮒又 (岩槻区本町) を採訪し、献立として提供している川魚料理を調理依頼し、一品ずつの味つけなどについて伺い、 「元荒川沿いの川魚料理店の現在」 を確認し、提供された川魚料理を賞味、併せて料理人から直接の解説をいただき、それを記録した。同時に淡水魚介類を県内、都内に卸している川魚卸問屋 「鯉平」 を訪ね、現在の川魚料理店への卸状況を紹介した。 川魚料理店では地元の川から種類によっては食材を得ていた時代はかつてあったが、現在は、きわめて限定されたものになっている。鰻はもとより、鯉、なまず、すっぽん、どじょうに至るまで養殖技術が進化したこと、輸入も可能になったこと、活魚の運搬範囲の拡大とスピード化が実現してきたことにより、食材が安定供給されていることがわかった。同時に、川魚料理店は、かつてのように鯉、鮒、鯰、どじょうといった川魚料理の調理機会が激減し、〈鰻一辺倒〉 に近いような献立に変更していったことが判明した。併せて、元荒川からの淡水魚供給はきわめて限定されていることが判明した。
著者
八藤後 忠夫 斎藤 修平 青木 純一 岡本 紋弥 佐藤 和平
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.189-194, 2016-03-30

聞き書きによる学校宿直廃止直前時の情況把握の結果,以下のことが推察された.1)この時期は,地域がそれ以前以上に学校・教師に接近し,その一体化が行われた.2)学校の地域からの信頼感は残存しており,それゆえ教師間の繋がりも公的・私的に混在し相補的な関係を継続していた.3)その傾向がこの時期の宿直という時空間に投影されている.