- 著者
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岡本 紘典
前中 久行
- 出版者
- 日本造園学会
- 雑誌
- ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.5, pp.804-807, 2010-03
緑化において重要となるのは植栽基盤となる土壌である。特に都市部においては、舗装面の土壌はコンクリート構造物などに取り囲まれているのが現状である。この場合、客土に使われた土壌が弱酸性であっても、コンクリートから溶脱する成分が植栽土壌をアルカリ性に変えることが懸念される。一般の成熟土壌の常識範囲を超えた異常な強酸性やアルカリ性土壌の出現、街路樹調査でアルカリ性の影響が見られた例、土壌アルカリ化の傾向が見られた報告もある。土地改良法の改正により、環境との調和と適切な維持・管理・更新に配慮した資材の検討が叫ばれるようになり、それに関連した資材として植栽ポッドや景観舗装コンクリートなどがある。コンクリートはセメントの水和反応により生じた水酸化カルシウムを含んでいるため、pH12.6程度の高いアルカリ性を示しており、土壌アルカリ化の要因としてコンクリートからのアルカリ分の溶出が考えられる。水酸化カルシウムは水溶性であるため、施工後の早い時期から溶出が起こると推測される。本研究では、コンクリートからのアルカリ分の溶出に着目し、初期状態における溶出状況の把握を目的とした。