- 著者
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岡本 裕巳
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 化学と教育 (ISSN:03862151)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.1, pp.42-45, 1999-01-20 (Released:2017-07-11)
- 参考文献数
- 5
分子の中で, 原子はバネ(化学結合)でつながれた質点系のように振る舞い, 固有の振動数で振動している。その振動数は赤外線の振動数に相当し, 赤外線を分子にあてると固有振動と共鳴して吸収される。これを利用して分子内振動を調べるのが赤外吸収スペクトルである。赤外吸収スペクトルは, 化合物中の官能基の同定に用いられるほか, 分子の対称性を教えてくれることもあり, 構造化学上の重要な発見に寄与している。ここでは赤外吸収がどのように測定されるのか, どのように分子構造の研究に用いられるか, その考え方の基礎を解説する。