- 著者
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岡村 靖人
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.2, 2016 (Released:2016-10-17)
これまで嗅覚や味覚への直接的な刺激によってもたらされた空腹感と利他的行動との間には負の相関関係があることが明らかにされている。本研究では、空腹感を喚起させるプライム刺激として食べ物の想起課題を課し、その後の利他的行動への影響について検討した。実験では、大学生63名を空腹感喚起の強弱により、強刺激としてラーメンを用いる群、弱刺激としてプリンを用いる群、空腹感を喚起させる想起課題を行わない統制群の3群に分け、各刺激の特徴を詳細に記述するという課題を課した。その後、参加者に無報酬の実験参加を依頼した。その実験に何分間協力してもよいかを8件法で尋ね、利他的行動の指標とした。その結果、プリン群(M=2.43)とラーメン群(M=1.48)、統制群(M=2.48)とラーメン群との間にそれぞれ有意な差が認められた。以上により、食べ物の想起をするだけでも直接的な刺激呈示の場合と同様に利他的行動を抑制する効果があることが示された。