著者
岡根 好彦
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.67-80, 2020-11-16 (Released:2020-11-16)
参考文献数
53

検索エンジンで機械的に表示された検索結果が表現の自由で保障されるかについて,米国の裁判例や学説は,①検索エンジンのプロセスや結果表示を意見とみるアプローチ,②マス・メディアの編集行為とみるアプローチを通じた検討を示唆している.①のアプローチからは,検索エンジン自体の意見として保障することは”人”ではないので認められず,プログラム作成者の意見として保障することも,検索結果にプログラム作成者の意見は通常反映されていないため,認められない.②のアプローチからは,検索エンジンは編集上の地位を通じて表現をコントロールしていないし,表現物を収集して全体として1つの表現を構成してもいないので,編集行為としても保障されないとの結論が導かれる.
著者
岡根 好彦
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.92, pp.197-228, 2012

一 はじめに二 現状の把握 (一) 伝統的な名誉毀損法理 1 由来 2 名誉毀損の民事責任 3 名誉毀損の刑事責任 4 名誉毀損的表現の憲法的価値 (二) 「現実的悪意」の法理の登場と展開 1 New York Times Co. v. Sullivan 事件判決 2 「現実的悪意」の立証を必要とする範囲の拡大 3 Gertz v. Robert Welch, Inc. 事件判決とその後 (1) Gertz v. Robert Welch, Inc. 事件判決 (2) Gertz事件判決の定着 (3) 複合テストの登場とその後三 コンピューター・ネットワーク上の名誉毀損 (一) 名誉毀損法理の修正 1 問題の所在 2 内容 3 効果 4 問題点 (二) 名誉毀損法理の否定 (三) 名誉毀損法理の維持四 整理と検討五 まとめ
著者
岡根 好彦
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.95, pp.101-134, 2012

一 はじめに二 論評ないし意見の表明による名誉毀損表現に対する日本での扱い (一) 「公正な論評」の法理の採用 (二) 「ロス疑惑」事件報道に関する最高裁判決 1 事実の概要 2 「公正な論評」の法理に関する立場の継続と「相当の理由」の採用 3 「事実」と「意見」の識別 (三) 「裸の意見言明」三 論評ないし意見の表明による名誉毀損表現に対するアメリカでの扱い (一) 意見特権論の登場 1 Gertz v. Robert Welch Inc. 判決 2 第二次リステイトメント五六六条 3 Old Dominion Branch No. 496, National Association of Letter Carriers v. Austin 判決 (二) Ollman v. Evans 連邦控訴裁判決 1 事実の概要 2 判旨 (三) Milkovich v. Lorain Journal Co. 判決 1 事実の概要 2 判旨 3 本判決の影響四 分析と検討 (一) 論評ないし意見の表明による名誉毀損表現に関する従来の法理の分析と比較 1 日本 2 アメリカ合衆国 3 両国の比較 (1) 類似点 (2) 相違点 (二) 表現媒体による、識別判断の変動可能性について五 まとめ