著者
村田 絵美 志方 万莉奈 岡田 真実 佐橋 磨衣子 横山 実香 小西 洋太郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.14, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】本研究は,玄米の発芽過程で生じる内因性酵素や機能性成分を利用し,製パン性(品質と機能性)を向上させる最適条件について検討した.【方法】強力粉100%パン(コントロール)および10%発芽玄米粉(2012年産コシヒカリを0,1,2,5日間発芽)を添加した計5種類のパンを,Panasonic SD-BMS104ホームベーカリー(約2時間のShort Course, SCおよび4時間のLong Course, LC)で焼成した.パン材料,発酵生地,焼成後のパンについて,還元糖量(BCA法),総遊離アミノ酸量(TNBS法),フィチン酸量(Wade法),GABA量(酵素法)を測定した.またパンのクラムについては卓上型物性測定機TPU-2CLを用いて硬さと凝集性を測定した.【結果】(1)発芽玄米の還元糖量は発芽2日目までは減少し,3日目以降は増加した.総遊離アミノ酸量とGABA量は,発芽日数を長いほど増加する傾向にあった.フィチン酸量は発芽3日目までは増加したが,その後減少した.(2)製パン工程において,還元糖量,総遊離アミノ酸量,GABA量はいずれも,発酵生地の段階で有意に増加し,パン焼成により減少した(しかし材料中の含量よりは高い).フィチン酸量は材料,発酵生地,パンの順に減少した.(3)SC, LCにかかわらず,焼成後のパンの比容積はコントロールと差はなかった(4~5 ml/g).SC, LCにかかわらず,発芽日数の長い発芽玄米を使ったパンほど,柔らかくなる傾向にあり,5日発芽パンが最も柔らかかった.発芽玄米パンの凝集性はいずれもコントロールよりも低かったが,発芽玄米パン同士で比較すると1,2日発芽玄米パンにおいて高かった.