6 0 0 0 OA 樺太

著者
岡田耕平 著
出版者
樺太通信社
巻号頁・発行日
1924
著者
佐々木 誓子 岡部 孝生 岡田 耕平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E1104, 2007

【はじめに】<BR> 本邦における脳卒中患者の平均復職率は約30%とされる。しかし、脳卒中患者の復職率は、地域により社会情勢及び医療状況が異なるため、国別はもちろん国内においても地域格差がある。そこで今回、当院における復職状況を把握することを目的にアンケート調査とカルテより後方視的に調査を行った。<BR>【対象】<BR> 対象は2001年1月~2005年12月までの過去5年間に当院を退院した脳卒中患者のうち、退院時年齢が60歳以下の256名(男性187名、女性69名、年齢は53.0±6.1歳)とした。<BR>【方法】<BR> まず、予め作成した調査用紙を用いて復職に関するアンケート調査を郵送法により行った。次に、対象者の入院カルテより1)診断名、2)障害側、3)Brunnstrom stsge(Br-Stage:下肢)、4)感覚障害の有無(下肢)、5) 高次脳機能障害の有無、6)歩行自立度(屋内)、7)Barthel index(BI) の7項目について抽出した。なお、今回は各項目とも退院時のものを採択した。アンケート回収後、対象者を復職群と非復職群の2群に分け、前述 した7項目について、カイ2乗検定、対応のないT検定を用い比較検討した。<BR>【結果】<BR> 有効回答数は114名(有効回答率=46%)であった。その中で、発症前に就労していなかった者12名を除外した102名中の復職者は43名(42%)であった。まず、1)診断名は復職群が脳出血20名、脳梗塞26名、クモ膜下出血4名、非復職群は脳出血37名、脳梗塞26名、クモ膜下出血8名となり有意差は認めなかった。2)障害側は、復職群が右片麻痺17名、左片麻痺20名、その他5名、非復職群は右片麻痺24名、左片麻痺24名、その他12名となり有意差は認めなかった。3)Br-stageは、復職群がI・II 2名(5%)、III・IV 6名(14%)、V・VI 34名(81%)、非復職群はI・II 5名(8%)、III・IV 35名(58%)、V・VI 20名(33%)となり有意差を認めた(p<.05)。4)感覚障害は、復職群が正常23名、鈍麻19名、脱失0名、不明0名、非復職群は正常22名、鈍麻33名、脱失1名、不明4名と有意差は認めなかった。5)高次脳機能障害は復職群で高次脳障害を認めた者6名(14%)、認めなかった者36名(86%)、非復職群で認めた者33名(55%)、認めなかった者27名(45%)となり有意差を認めた(p<.01)。6)歩行自立度は復職群自立40名、介助2名、非復職群自立46名、介助14名となり退院時に有意差は認めなかった。7)BIに関して復職群は98.0±6.2点、非復職群87.8±22.5点となり有意差を認めた(p<.01)。<BR>【考察】<BR> 今回の結果は脳卒中患者の復職率が42%と、本邦の平均値より高い結果であった。復職に至ったものは、身体機能面はもちろん移動だけでなく日常生活動作等の能力面においても能力が高い者が復職していることが考えられた。<BR>