著者
岡田 聡志
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、昨年度実施したアメリカのLCME、CCNE、ACPE、及びイギリスのGMC、NMC、GPCの分野別評価基準の対応関係の整理をもとに、基準に関連する研究成果をより広い範囲で抽出・収集することに加え、それらの研究の参照枠組みの特徴を明らかにすることと、機関別評価の動向や議論についても注視しつつ、内部質保証の妥当化と高度化に関するより多くの個別機関の事例を抽出・整理することを中心に実施した。より具体的には、昨年度抽出した評価基準に関連する文献および研究成果について、特にその参考・引用文献に分析の範囲を広げ、著者名、著者の所属機関・地域、分析課題、サンプルの詳細(調査対象やサイズ等)、分析手法、分析結果、データ取得手続き、倫理的配慮の有無を項目として設定し、リストを作成した上で、医学・薬学・看護学の分野の観点から、その参照枠組みの整理・比較を実施した。これにより、国内調査の結果との比較基準を構築することができた。これに加え、国内IR担当者の準拠・参照枠組みの実態についてアプローチするため、昨年度作成した調査項目に基づき、機関レベルと専門分野レベルの観点から調査対象を区別し、スノーボールサンプリングをベースとしながら、調査対象を拡大しつつインタビュー調査を継続的に実施し、インタビュー内容の整理とデータ化を行った。なお、本年度までの研究成果の一部については、学会報告を行うとともに、論文としてまとめ、日本薬学教育学会の学会誌『薬学教育』に投稿し、知見の整理を実施した。
著者
岡田 聡志
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、高等教育機関内の教育改善に資するデータの収集・分析・報告を担うIRの機能に着目し、特に医学領域を事例として、機関別質保証と分野別質保証との関係性およびその中でのIR機能のあり方を明らかにすることを目的としたものである。研究の結果、1)機関別質保証と分野別質保証の関係性は、前者から後者へ重心が移行しつつあること、2)分野別質保証におけるIR機能については、各専門領域・専門職関連団体の各種の取り組みが、IR機能の標準化と効率化の役割を果たすという相補性が確認されること、3)日本の分野別質保証が、卒後から卒前へではなく、逆向きの方向で進展している特質が明らかになった。
著者
岡田 聡志
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-012, 2018 (Released:2018-11-03)
参考文献数
19

本稿では医学教育を1つの事例としながら,専門分野レベルのInstitutional Research(IR)の役割と機能について考察し,機関レベルのIRとの関連性を含め,今後の方向性について検討する.具体的には,まず現在なぜ専門分野レベルのIRが注目されているかの背景について,内部質保証の強調,教育プログラムの第一義的重要性,分野別評価の導入と進展,機関別認証評価の軽量化の観点から整理する.次いで,事例としての医学教育におけるIRの展開について概観した上で,IRの形態の多様性について確認する.その上で,IRの具体的な機能に関連して,日本のIRに関する制約とその現状を指摘した上で,学修成果の測定や可視化に関する議論を確認しつつ,実践の在り方について論じる.最後に,専門分野レベルのIR機能の重要性を指摘するとともに,具体的な課題とともにその方向性を考察する.