著者
斉川 茂樹 蟹本 雄右 村中 幸二 岡田 鎌一郎
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.250-255, 1995-01-25

新しい経口ペネム剤であるritipenem acoxil (RIPM-AC) について尿路感染症に対する臨床効果の検討, 腎障害例における体内動態の検討を行い以下の結論を得た。<BR>1) 本剤200mg単回投与後の血中, 尿中濃度の推移を評価可能な腎機能低下患者8名 (I群;60ml/min < Ccr≦90ml/min, n=3, II群: 30ml/min < Ccr≦60ml/min, n=2. III群: Ccr≦30ml/min, n=3) を対象に比較検討した。Tmax (1群: 1.58±0.42時間, II群: 3.50時間, III群2.67±0.33時間), Cmax (I群: 2.25±0.90 μg/ml, II群: 1.32 μg/ml, III群3.20±0.72μg/ml), T<SUB>1/2</SUB> (1群: 0.64±0.02時間, II群: 0.91時間, III群 4.26±156時間) であった。また尿中回収率 (0-12時間) は1群で20.5±9.2%, II群で26.0%, III群で11.8±2.2%であった。<BR>2) 慢性複雑性尿路感染症10例に1回200mgを, 1日3回, 5日間から14日間内服投与した。主治医判定で著効4例, 有効2例, やや有効1例, 無効3例で, 無効例は何れも緑膿菌感染であった。UTI薬効評価基準に従って判定可能の8例では, 著効4例, 有効1例で, 緑膿菌感染の3例では無効であった。また, 投与症例すべてについて本剤に起因すると思われる自・他覚的副作用は認められず, 臨床検査値の異常も認められなかった。