著者
三木 文雄 小林 宏行 杉原 徳彦 武田 博明 中里 義則 杉浦 宏詩 酒寄 享 坂川 英一郎 大崎 能伸 長内 忍 井手 宏 西垣 豊 辻 忠克 松本 博之 山崎 泰宏 藤田 結花 中尾 祥子 高橋 政明 豊嶋 恵理 山口 修二 志田 晃 小田島 奈央 吉川 隆志 青木 健志 小笹 真理子 遅野井 健 朴 明俊 井上 洋西 櫻井 滋 伊藤 晴方 毛利 孝 高橋 進 井上 千恵子 樋口 清一 渡辺 彰 菊地 暢 池田 英樹 中井 祐之 本田 芳宏 庄司 総 新妻 一直 鈴木 康稔 青木 信樹 和田 光一 桑原 克弘 狩野 哲次 柴田 和彦 中田 紘一郎 成井 浩司 佐野 靖之 大友 守 鈴木 直仁 小山 優 柴 孝也 岡田 和久 佐治 正勝 阿久津 寿江 中森 祥隆 蝶名林 直彦 松岡 緑郎 永井 英明 鈴木 幸男 竹下 啓 嶋田 甚五郎 石田 一雄 中川 武正 柴本 昌昭 中村 俊夫 駒瀬 裕子 新井 基央 島田 敏樹 中澤 靖 小田切 繁樹 綿貫 祐司 西平 隆一 平居 義裕 工藤 誠 鈴木 周雄 吉池 保博 池田 大忠 鈴木 基好 西川 正憲 高橋 健一 池原 邦彦 中村 雅夫 冬木 俊春 高木 重人 柳瀬 賢次 土手 邦夫 山本 和英 山腰 雅宏 山本 雅史 伊藤 源士 鳥 浩一郎 渡邊 篤 高橋 孝輔 澤 祥幸 吉田 勉 浅本 仁 上田 良弘 伊達 佳子 東田 有智 原口 龍太 長坂 行雄 家田 泰浩 保田 昇平 加藤 元一 小牟田 清 谷尾 吉郎 岡野 一弘 竹中 雅彦 桝野 富弥 西井 一雅 成田 亘啓 三笠 桂一 古西 満 前田 光一 竹澤 祐一 森 啓 甲斐 吉郎 杉村 裕子 種田 和清 井上 哲郎 加藤 晃史 松島 敏春 二木 芳人 吉井 耕一郎 沖本 二郎 中村 淳一 米山 浩英 小橋 吉博 城戸 優光 吉井 千春 澤江 義郎 二宮 清 田尾 義昭 宮崎 正之 高木 宏治 吉田 稔 渡辺 憲太朗 大泉 耕太郎 渡邊 尚 光武 良幸 竹田 圭介 川口 信三 光井 敬 西本 光伸 川原 正士 古賀 英之 中原 伸 高本 正祇 原田 泰子 北原 義也 加治木 章 永田 忍彦 河野 茂 朝野 和典 前崎 繁文 柳原 克紀 宮崎 義継 泉川 欣一 道津 安正 順山 尚史 石野 徹 川村 純生 田中 光 飯田 桂子 荒木 潤 渡辺 正実 永武 毅 秋山 盛登司 高橋 淳 隆杉 正和 真崎 宏則 田中 宏史 川上 健司 宇都宮 嘉明 土橋 佳子 星野 和彦 麻生 憲史 池田 秀樹 鬼塚 正三郎 小林 忍 渡辺 浩 那須 勝 時松 一成 山崎 透 河野 宏 安藤 俊二 玄同 淑子 三重野 龍彦 甲原 芳範 斎藤 厚 健山 正男 大山 泰一 副島 林造 中島 光好
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.526-556, 2005-09-25

注射用セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため, ceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1g (力価), 1日2回点滴静注により7日間投与し, 以下の結果を得た。<BR>1. 総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は, 判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188), CAZ群91.4%(169/185) の有効率で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は, それぞれCZOP群90.9%(120/132), 94.6%(53/56), CAZ群93.3%(126/135), 86.0%(43/50) で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。<BR>2. 原因菌が判明し, その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は, CZOP群89.5%(94/105), CAZ群90.5%(95/105) の菌消失率 (菌消失+菌交代) で, 両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は, CZOP群91.1%(113/124), CAZ群90.8%(108/119) で両群問に有意な差はみられなかったが, 最も高頻度に分離された<I>Streptococcus pneumoniae</I>の消失率はCZOP群100%(42/42), CAZ群89.5%(34/38) で, CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ (P=0.047), 投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失寧を示した (P=0.049)。<BR>3. 投薬終了時に, CZOP群では52,4%(99/189), CAZ群では50.3% (94/187) の症例において治療日的が達成され, 抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療Il的遠成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。<BR>4. 随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206), CAZ群5.0%(10/202) で両棊剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として, CAZ群に好酸球増多がCZOP絆より多数認められたが, 臨床検査値異常出現率としては, CZOP群31.6% (65/206), CAZ群32.2% (65/202) で, 両群間に有意な差は認められなかった。<BR>以上の成績から, CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検祉された。また<I>S. pneumoniae</I>による下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
大石 正夫 宮永 嘉隆 大野 重昭 藤原 隆明 佐々木 一之 塩田 洋
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.313-322, 2005-07-20
参考文献数
5
被引用文献数
1

新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem (DRPM) 250mg点滴静脈内投与時の本薬の眼組織 (前房水) への移行性を検討した。また, 眼科領域感染症として角膜潰瘍, 眼窩感染および眼内炎の患者へDRPM250mgを1日2回または3回, あるいは500mgを1日2回点滴静脈内投与した時の本薬の有効性および安全性の検討を行った。<BR>1. 組織移行性試験<BR>白内障手術施行患者へのDRPM点滴静脈内投与開始70~115分後の前房水中DRPM濃度は0.16~0.87μg/mL, またほぼ同時期の血漿中の本薬の濃度は6.86~12.9μg/mLであった。<BR>2. 第III相一般臨床試験<BR>1) 有効性<BR>評価対象は15例 (角模潰瘍10例, 眼窩感染4例, 眼内炎1例)。1日投与量別の症例数は250mg×2回投与が9例, 250mg×3回投与および500mg×2回投与が, おのおの3例で, 臨床効果における有効率は100.0%(15/15例) であった。<BR>投与前後で菌の消長が検討可能であった症例は8例 (角膜潰瘍4例, 眼窩感染3例, 眼内炎1例) であった。これら8例の内訳はα-<I>Streptococcus</I>感染例が1例, C<I>orynebacterium</I> sp.感染例が3例, <I>Pseudomonas aerugimosa</I>感染例が2例, <I>Propionibacterium acnes</I>感染例が1例および<I>Staphylococcus aurens</I>と<I>Prevotella intermedia</I>の混合感染例が1例であり, これら8例全例において原因菌はすべて消失した。また, 投与後出現菌は認められなかった。<BR>2) 安全性<BR>評価対象は本薬を投与した全症例の15例で, 主要評価項目として副作用 (症状, 臨床検査値) の有無を検討した。<BR>有害症状が4例 (8件) に認められたが, 軽度または中等度で, 副作用 (症状) と判定された症例はなかった。<BR>臨床検査値異常変動が5例 (5件) に認められ, これらすべては治験薬との因果関係が否定されなかった。このため, 副作用 (臨床検査値) は, 5例 (5件: アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇3件, アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇, γ-グルタミルトランスペブチダーゼ上昇, 各1件) となり, 発現率は33.3%(5/15例) であった。程度はすべて軽度で, 転帰はすべて正常化であった。なお, これらの副作用 (臨床検査値) の多くは類薬での療法において認められている事象と同様の事象であった。
著者
海老沢 功
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.351-357, 2007-09-10

4種類あるマラリア原虫のうち, 生命に危険のある熱帯熱マラリア原虫は世界中に広く分布し, かつ最も代表的な抗マラリア薬であるクロロキン, メフロキン. サルファドキシン+ピリメタミンの合剤ファンシダール<SUP>®</SUP>などに耐性を示し, マラリア研究者を悩ませてきた。これに対して中国の古墳, 馬王堆から発掘された古文書の解読により発見された漢方薬青高素 (チンハオス, アーテミシニン) の分析, 合成によって開発されたアーテメータ, アーテエータ, アーテスネイトなどを薬剤耐性熱帯熱マラリアの流行地, タイ, ミャンマー, アフリカなどで単独で使用した成績をまず紹介した。いずれも即効性があり熱帯熱マラリア原虫の速やかな消失が認められたが, 単独使用では数%の再燃例が認められることを確認した。<BR>次の段階で上記薬剤に補強的に作用するメフロキンとの併用療法あるいは補助的に作用するアモダイアキン, アトヴァコン, プログアニル, トリメトプリム, ルメファントリン, ダプソンなどとの併用療法あるいは合剤, 座薬の開発の現状を分析・報告した。患者が再感染しやすい環境にあり,「再燃」と分類される症例が必ず数%出てくる現状では, 新薬の効力が持続することを望んで止まない。<BR>日本国内でもアーテメータ+ルメファントリンの合剤 (リアメット<SUP>®</SUP>, コアルテム<SUP>®</SUP>) がマラリア研究班により輸入・保管されている。
著者
山口 惠三 宮崎 修一 岡本 博樹
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.55-65, 2003-09-30
参考文献数
21
被引用文献数
5

Telithromycin (TEL) の日本の臨床分離株に対する<I>in vitro</I>抗菌力を検討し, マクロライド系抗生物質のerythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM), ペニシリン系抗生物質のamoxicillin (AMPC), セフェム系抗生物質のcefdinir (CFDN) ならびにニューキノロン薬のlevofloxacin (LVFX) と比較した。その結果, TELは, EM感受性<I>Streptococcus pneumoniae</I> (MIC<SUB>90</SUB>=0.008μg/mL) だけでなく<I>mefE</I>保有 (葉物排出型) EM耐性菌および<I>ermB</I>保有 (作用部位変異型) EM耐性菌のいずれに対しても試験葉物中もっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.125μg/mL) を示した。さらに, TELはEM感受性および<I>mefE</I>保有EM耐性株に対し, 殺菌的 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=1) に作用したが, <I>ermB</I>保有EM耐性株に対するそれは若干弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=4)。TELは, <I>Streptococcus pyogenes</I>および<I>Streptococcus agalactiae</I>に対しても<I>S.pmumoniae</I>同様もっとも強い抗菌作用を示した。TELは, EM感受性および誘導型EM耐性<I>Stapkylococcus aureus</I>に対しもっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.125および0.25μg/mL) を示したが, 殺菌的な作用は弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=16および8)。また, TELは構成型EM耐性株に対しては効果を示さなかった。同様の結果が, <I>Stapkylococcus epidermidis</I>についても得られた。TELはEM感受性<I>Enterococcus faecalis</I>に対しもっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>≦0.063μg/mL) を, EM耐性株に対してもEM, CAMおよびAZMより32倍以上強い作川 (MIC<SUB>90</SUB>=4μg/mL) を示した。さらに, TELはEM感受性株に対し殺菌的な作用 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=4) を示したが, EM耐性株に対するそれは弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=32)。TELは, <I>Entmcoccus faecium</I>に対してももっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=2μg/mL) を示した。<I>Haemophilus influenzae</I>に対するTELの抗菌作用 (MIC<SUB>50</SUB>=2μg/mL, MIC<SUB>90</SUB>=4μg/mL) はEM, CAMより2~4倍強く, AZMと同等もしくは2倍弱かった。TELは<I>Moraxella catarrhalis</I>, <I>Rordetella pertussis</I>, <I>Legionella</I> spp.および.<I>Neisseria gonorrhoeae</I>に対し強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.25, 0.032, 0.063および0.125μg/mL) を示した。これらのTELの効果は, <I>M. catarrhalis</I>に対する効果がAZMより劣っていた以外は, EM, CAMおよびAZMと同等またはそれ以上であった。しかし, EM, CAMおよびAZMと同様, TELの<I>Klebsiella pneumoniae</I>に対する抗菌作用は弱かった。TELは<I>H. influenzae</I>および<I>M. catarrhalis</I>に対して殺菌的な作用 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=1) を示した。次に, <I>S. aureus</I> Smith株による全身感染モデルを用いて, TELの<I>in vivo</I>感染防御効果を検討し, CAM, AZM, CFDNおよびLVFXと比較した。その結果, TEL, CAM, AZM, CFDNおよびLVFXは感染防御効果を示し, そのED<SUB>50</SUB>はそれぞれ, 7.3, 12.1, 13.2, 2.1および5.7mg/kgであった。以上の実験結果から, TELはグラム陽性菌に対し非常に強い抗菌力を有し, 特に<I>S. pneumoniae</I>においてはEM耐性菌に対しても作用を有すること, グラム陰性の市中呼吸器感染の原因菌にも優れた作用を有すること, および<I>S. aureus</I>性感染モデルにおいてCAMおよびAZMよりも強い感染防御効果を有することが明らかになった。
著者
堀 誠治 川村 将弘
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.460-463, 2002-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
7

われわれは, 非ステロイド薬 (NSAIDs) とキノロン薬の薬物相互作用の強さを, mouse脳室内投与によるnorfloxacin (NFLX) およびgatinoxacin (GFLX) の痙攣誘発作用を指標として検討した。NFLXおよびGFLXの脳室内投与によりmouseに投与量依存的に痙攣が誘発され, その痙攣誘発作用はNFLX<GFLXであった。NFLXの痙攣誘発作用は, biphenylacetic acid (BPA), flurbiprofenの同時投与により増強された。Indomethacin, ketoprofenでは中等度の, loxoprofen,(-)-naproxenでは軽度の痙攣誘発作用増強が認められたが, ibuprofen, sodium diclofenac, mefenamic acid, tenoxicam,(+)-naproxen, aspirinおよびacetaminophenでは変化が見られなかった。一方, GFLXの痙攣誘発作用は, BPAで軽度増強されたものの, 他のNSAIDsでは変化を認めなかった。以上の成績より, NSAIDsによりキノロン薬との薬物相互作用の強さに違いがあり, さらに, キノロン薬との組み合わせによっても差のあることが明らかとなった。
著者
大黒 絹枝 分部 浩和 東 敦 向井 典江 今田 拓磨 米田 裕光 大西 久子 蔵本 美香 宮本 寿 大森 和則 玉岡 寿 菊地 幹雄
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.74-90, 1995-07-31
被引用文献数
4

ニューキノロン薬grepafloxacin (GPFX) の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌力について検討し.以下の結果を得た。<BR>1. GPFXは好気性菌及び嫌気性菌に対し幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を有していた。<BR>2. 臨床分離菌株に対するGPFXの抗菌力は, グラム陽性菌では比較薬剤中最も強い抗菌力を示し, グラム陰性菌ではCPFXに次ぐ抗菌力であった。<BR>3. GPFXは各種測定培地, 培地のpH, 接種菌量, 血清添加および金属イオンの影響をほとんど受けなかったが, 培地の酸性pHおよび高濃度の金属イオン存在下で, わずかに抗菌力の低下が認められた。<BR>4. GPFXはMIC以上の濃度で用量依存的に殺菌作用を示し, MICとMBCの差は小さく, 殺菌的に作用した。<BR>5. GPFXに対する自然耐性菌の出現頻度は低く, 継代培養による耐性も獲得しにくかった。<BR>6. GPFXは<I>Escherichia coli</I>由来のDNA gyraseにより, DNAから超螺旋型DNA生成する反応を強く阻害した。<BR>7. GPFXのpost antibiotic effect (PAE) は<I>Staphylococcus aureus</I> FDA 209Pで2時間, <I>E. coli</I> NIHJ JC-2 で1.6時間であり, CPFX同様に比較的長かった。<BR>8. マウス実験的感染症に対するGPFXの治療効果は, グラム陽性菌では比較薬剤のなかで最も強く, グラム陰性菌ではCPFXと同等もしくは優れた効果を示した。<BR>以上の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌作用の検討成績より, GPFXは呼吸器感染症をはじめ各種細菌感染症に対して, 有用な薬剤であることが示唆された。
著者
李 秀華 五島 瑳智子 村井 貞子 小林 明子 辻 明良 高 細水 胡 尭蒙 〓 玉秀
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.611-618, 1999-10-25

中国の病院関係者における<I>Staphyloococcus auresus</I>の保菌状況を調べることを目的とし, 1996年, 1997年に中国4省4都市7病院で, 健康者25人と入院患者25人を対象に咽頭と鼻前庭粘膜から<I>S. aureus</I>を分離した。分離株の血清型別および薬剤感受性を調べ, 1996年に行った東京の1病院の成績と比較した。<BR>1) 中国7病院での<I>S. aureus</I>の分離率は4%~25%であり, 東京の1病院での41.2%に比べ有意に低率であった。<BR>2) 健康者からの<I>S. aureus</I>の分離率は入院患者よりも高く, 健康者では医療従事者の方が一般人に比較し高い分離率を示した。また, 咽頭からの分離率が鼻前庭に比較して高かった。<BR>3) 中国7病院で分離された<I>S. aureus</I>の血清型はコアグラーゼVII型がもっとも多く, エンテロトキシン型は一定ではなかった。これに対して日本の1病院から分離された<I>S. aureus</I>42株のうち12株がコアグラーII型, エンテロトキシンC型であり, これらはすべてMRSAであった。<BR>4) 抗菌薬感受性について, 中国7病院での分離株はimipenem, panipenemに対する感受性が高く, tetracycline, erythromycin, roxithromycin, azithromycin には低い成績を示したが, MRSAは分離されなかった。一方, 東京の1病院では42株中17株 (40.8%) がMRSAであったが, すぺての菌株がarbekacinに4.0μg/mL以下, vanoomycinに2.0μg/mL以下のMICを示した。<BR>中国7病院と東京の1病院で分離された<I>S. aureus</I>の各種抗菌薬に対する感受性パターンの相違は, これまでの両国における感染症と治療法の差および医療体制の違いによるものと考えられるが, 西洋医学が急速に導入されている中国において, 今後の薬剤耐性菌の推移を検討する基礎資料となるであろう。
著者
斉川 茂樹 蟹本 雄右 村中 幸二 岡田 鎌一郎
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.250-255, 1995-01-25

新しい経口ペネム剤であるritipenem acoxil (RIPM-AC) について尿路感染症に対する臨床効果の検討, 腎障害例における体内動態の検討を行い以下の結論を得た。<BR>1) 本剤200mg単回投与後の血中, 尿中濃度の推移を評価可能な腎機能低下患者8名 (I群;60ml/min < Ccr≦90ml/min, n=3, II群: 30ml/min < Ccr≦60ml/min, n=2. III群: Ccr≦30ml/min, n=3) を対象に比較検討した。Tmax (1群: 1.58±0.42時間, II群: 3.50時間, III群2.67±0.33時間), Cmax (I群: 2.25±0.90 μg/ml, II群: 1.32 μg/ml, III群3.20±0.72μg/ml), T<SUB>1/2</SUB> (1群: 0.64±0.02時間, II群: 0.91時間, III群 4.26±156時間) であった。また尿中回収率 (0-12時間) は1群で20.5±9.2%, II群で26.0%, III群で11.8±2.2%であった。<BR>2) 慢性複雑性尿路感染症10例に1回200mgを, 1日3回, 5日間から14日間内服投与した。主治医判定で著効4例, 有効2例, やや有効1例, 無効3例で, 無効例は何れも緑膿菌感染であった。UTI薬効評価基準に従って判定可能の8例では, 著効4例, 有効1例で, 緑膿菌感染の3例では無効であった。また, 投与症例すべてについて本剤に起因すると思われる自・他覚的副作用は認められず, 臨床検査値の異常も認められなかった。
著者
原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 中富 昌夫 浅井 貞宏 水兼 隆介 奥野 一裕 福島 喜代康 伊藤 直美 井上 祐一 小池 隆夫 大西 勝憲 大道 光秀 山田 玄 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 武内 健一 新妻 一直 柳瀬 賢次 友池 仁暢 中村 秀範 加藤 修一 佐田 誠 池田 英樹 板坂 美代子 荒川 正昭 和田 光一 原口 通比古 星野 重幸 五十嵐 謙一 嶋津 芳典 近 幸吉 瀬賀 弘行 関根 理 鈴木 康稔 青木 信樹 滝沢 敬夫 兼村 俊範 竹村 尚志 長尾 光修 濱島 吉男 坂本 芳雄 坂田 憲史 豊田 丈夫 大角 光彦 小林 宏行 河合 伸 酒寄 享 杉浦 宏詩 押谷 浩 島田 馨 佐野 靖之 荒井 康男 北條 貴子 小川 忠平 柴 孝也 吉田 正樹 岡田 和久 佐藤 哲夫 古田島 太 林 泉 宍戸 春美 松本 文夫 桜井 磐 小田切 繁樹 鈴木 周雄 綿貫 祐司 高橋 健一 吉池 保博 山本 俊幸 鈴木 幹三 下方 薫 川端 原 長谷川 好規 齋藤 英彦 酒井 秀造 西脇 敬祐 山本 雅史 小笠原 智彦 岩田 全充 斉藤 博 三木 文雄 成田 亘啓 三笠 桂一 二木 芳人 河端 聡 松島 敏春 副島 林造 澤江 義郎 高木 宏治 大泉 耕太郎 木下 正治 光武 良幸 川原 正士 竹田 圭介 永正 毅 宇都宮 嘉明 秋山 盛登司 真崎 宏則 渡辺 浩 那須 勝 橋本 敦郎 後藤 純 河野 宏 松倉 茂 平谷 一人 松本 亮 斎藤 厚 健山 正男 新里 敬 伊志嶺 朝彦 上地 博之 比嘉 太 仲本 敦 我謝 道弘 中島 光好
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.901-922, 1997-11-25
参考文献数
20
被引用文献数
19
著者
吉田 勇 杉森 義一 東山 伊佐夫 木村 美司 山野 佳則
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.209-232, 2003-04-25
被引用文献数
43

2000年に全国16施設において種々の臨床材料から分離されたグラム陰性菌19菌種属, 1,227株に対する各種抗菌薬のMICを寒天平板希釈法で測定し, 抗菌力の比較検討を行った。腸内細菌科の抗菌薬感受性は, ほとんどのβ-lactam系薬に対して, 過去のデータに比べ耐性化傾向は認めなかったが, ニューキノロン系薬 (NQs) に対する低感性株を含む耐性株の分離頻度は引き続き上昇していた。<I>Escherichia coli, Klebsiella</I> spp., <I>Proteus</I> spp.においては, ceftriaxone, ceftazidime, aztreonamあるいはcefbodoximeに対する非感性菌は, それぞれ9.8%, 4.0%, 8.3%検出された。<I>Neisseria gonorrhoeae, Branhamella catarrhalis</I>に対し, 多くの抗菌薬は良好な抗菌力を有していたが, <I>N.gonorrhoeae</I>ではNQs低感性株を含む耐性株が92%にまで達し, きわめて高い分離頻度であった。<I>Haemophilus influenzae</I>におけるβ-lactamase産生株は7%であり, 1998年より減少したが, β-lactamase-negative ampicillin耐性株 (BLNAR) の分離頻度は1992年3.3%, 1994年3.5%, 1996年15.6%, 1998年24.4%, 2000年37.0%と大きく増加していた。<I>Pseudomonas aeruginosa</I>の各抗菌薬に対する感受性は上昇しており, tobramycin, doripenem, meropenem, arbekacinは, MIC<SUB>90</SUB>で6.25μg/mL以下を示した。抗緑膿菌薬11剤に対する感受性解析の結果, 多剤耐性化は進んでおらず, すべての抗菌薬に感性の株の分離頻度が上昇していた。<I>P. aeruginosa</I>以外のブドウ糖非醗酵グラム陰性菌においても, 測定抗菌薬の抗菌力は若干上昇していた。