著者
岡部 沙麗 元木 康介
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
pp.202410.005, (Released:2023-12-20)
参考文献数
44

近年、社会的・学術的に性的マイノリティに関する研究の重要性は増している。性的マイノリティとは、性的指向や性自認におけるマイノリティを指し、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアなどが含まれる。消費者行動研究においても、多様性・公平性・包括性の観点から、性的マイノリティは注目を集めている。本稿は、性的マイノリティに関する近年の消費者行動研究を体系的にレビューすることで、最新研究動向と今後の方向性を示す。既存研究は、性的マイノリティ消費者に関する研究、性的マイノリティが登場するマーケティング刺激に関する研究に大別できる。前者の研究群では、異性愛者と比較した性的マイノリティ特有の消費者行動が扱われている。後者の研究群では、広告を主な題材として、異性愛と比較した同性愛イメージの影響を検討している。今後の研究展望として、多様な性的マイノリティ・異性愛消費者と性的マイノリティ消費者の相互作用・広告以外のマーケティング活動における性的マイノリティ・中長期的な影響等が挙げられる。