著者
岡部 泰子 城賀本 晶子 赤松 公子 吉村 裕之
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.430-438, 2014

【目的】青年期における対人的な嫌悪感情は,腹痛・下痢・嘔吐・過呼吸など心理的葛藤から身体化する場合が多くみられる.しかし,対人的嫌悪感情を測定する尺度は少なく,統計学的な検証もなされていない.本研究では,対人的嫌悪感情の程度を測定する尺度を作成し,統計学的に検証した.【方法】4年制看護学科の研究参加に同意を得た448人の女子大学生を対象とした.属性調査用紙と新たに作成した対人的嫌悪感情の測定尺度を使用した.対人的嫌悪感情の測定尺度の統計学的検証は2段階で行い,探索的因子分析で潜在因子を探索および命名し,その後,検証的因子分析を用いて構成概念妥当性を検討した.各因子および尺度全体の内的整合性はクロンバックのα係数により検証した.測定尺度の信頼性・安定性は,再テスト法を用いて級内相関係数で判断した.【結果】探索的因子分析の結果,4因子が抽出され,質問項目の内容から「身勝手さに対する嫌悪」,「傲慢さや理不尽さに対する嫌悪」,「異質さに対する嫌悪」,「計算高さに対する嫌悪」と命名した.検証的因子分析の結果,この4因子モデルの適合度指標(RMSEA=0.062)は,構成概念妥当性を確保していた.【考察】新たに4因子40項目の対人的嫌悪感情の測定尺度を作成し,統計学的に検証できた.今後,心身医学的な問題を抱える女子大学生の対人的嫌悪感情の程度と性格特性について研究を進めたい.