著者
田中 拓道 金子 唯 辛島 龍一 岩下 晋輔 入江 弘基 吉野 幸生 笠岡 俊志
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.741-744, 2016-12-31 (Released:2016-12-31)
参考文献数
7

症例1:55歳,男性。主訴,意識障害。既往歴,2型糖尿病。早朝に唸り声を上げているのを家人が発見,呼びかけても返答がないため救急要請。救急隊血糖測定で51mg/dL。当院救急外来搬入時血糖測定を施行し35mg/dL。ブドウ糖投与し,意識レベル改善,経過観察の後,独歩帰宅となった。症例2:74歳,男性。主訴,意識障害。既往歴,2型糖尿病。就寝後の排尿介助時に意識が朦朧としており,3時間後の排尿介助時は呼びかけに反応がなく,救急要請。救急隊血糖測定で61mg/dL。当院救急外来搬入時血糖測定を施行し36mg/dL。ブドウ糖を投与し,意識レベル改善,経過観察の後,独歩帰宅となった。今回経験した2例は低血糖発作症例であったが,病院前ブドウ糖投与プロトコール適応とならなかった。
著者
田中 拓道 岩下 晋輔 金子 唯 辛島 龍一 入江 弘基 笠岡 俊志
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.733-737, 2017-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
9

症例は34歳の女性でNeurofibromatosis 1(以下,NF1)の既往があり,呼吸困難を主訴に救急搬入された。来院後間もなくショック状態となり,左椎骨動脈破裂の診断で緊急カテーテル塞栓術を施行した。その後,止血したが脳死とされ得る状態となった。若年症例であり家族の希望から臓器移植のドナー適応があるか検討を行った。NF1に合併する全身血管の奇形や脆弱性が問題となり,臓器提供には踏み切れないとの判断に至った。その後,第21病日に死亡退院となった。NF1はvon Recklinghausen 病として知られる先天性疾患であり,血管奇形・脆弱性から血管破裂・出血をきたし,しばしば重篤なショック状態に陥る。NF1に伴う血管奇形は国内でも多く報告される。本例では出血性ショックおよび血管攣縮で脳幹虚血・梗塞から脳死とされ得る状態になったと考えられた。臓器移植適応も検討されたが臓器提供には踏み切れなかった。