著者
岩井 康智
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.233-238, 1999-12-25 (Released:2017-04-13)
参考文献数
27

解剖学的ならびに生物学的な立場からみると, ヒトの系統発生および個体発生における総合咀嚼器官の進化または退化には, 環境因子が深く関与している.一方, 正常咬合は総合咀嚼器官が正常に機能するための重要な要件とされている.咬合の静態と動態, 即ち形態的ならびに生理的にともに正常であることが, 形態学的立場からの理想的咬合の条件である.
著者
中塚 美智子 隈部 俊二 岩井 康智
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.158-168, 2007-01-25

上顎歯列模型62例について,形態決定に関与している因子を探るためフーリエ級数を用いて比較検討した.結果は以下の通りである.1)方形,帯円方形,帯円形,帯円V字形の4型とも,第4周波数までで歯列弓形態を再現することが可能であった.2)歯列弓の大きさを示すフーリエ級数の定数ならびに第1周波数の振幅では形態間に有意差は認められなかったが,歯列弓の形を表す第2,3,4周波数の振幅では形態間に有意差が認められた.3)定数は前歯部幅径ならびに歯列弓幅径との高い正の相関がみられた.第1周波数の振幅は歯列弓長径と前歯部幅径との正の相関がみられた.第2周波数の振幅は歯列弓幅径と高い正の相関,前歯部の彎曲度合,歯列弓長径と幅径の割合と高い負の相関が,第3周波数の振幅は前歯部幅径,歯列弓幅径と正の相関,前歯部の彎曲度合と負の相関が,第4周波数の振幅は前歯-臼歯移行部動径差と正の相関がみられた.これらより,上顎歯列弓の形態の決定には歯列弓長径と幅径の割合,前歯部の彎曲度合,前歯部から臼歯部への移行部の形態が関与していることが示唆される.