著者
荒木 章子 大日向 純子 鈴木 菜生 岩佐 諭美 雨宮 聡 田中 肇 藤枝 憲二
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.370-374, 2008

北海道旭川市において, 3歳児健診受診児の保護者に対し, 子どもの睡眠習慣に関するアンケート調査を行った. 受診者450名のうち404名 (90.4%) から回答を得た. 就床時刻は平均21.4時で, 22時以降は36%であった. 起床時刻は平均7.5時であった. 夜間睡眠時間は平均10.1時間で, 就床時刻が22時以降の児は22時以前と比べて, 有意に夜間睡眠時間が短かった (p<0.01). 午睡をとる児の12%は終了時刻が17時以降で, それらの児の平均就床時刻は22.1時であった. 就床時刻の遅延は, 食欲低下やカッとなって怒りっぽいという愁訴と関係があった (いずれもp<0.05). 保護者は就床環境に対して高い意識を示すが, 日中の活動性や午睡への意識は低かった. 25%の保護者は子どもの睡眠に問題を感じていたが, 医師への相談はわずか3%であった. 睡眠リズムの確立は, 心身の健全な発達と関係があり, 医療機関は積極的に啓発活動する必要がある.