- 著者
-
山口 哲央
足立 昌司
溝上 智英子
城田 晶子
米田 昌代
岩倉 研二
二階堂 任
- 出版者
- 日本静脈経腸栄養学会
- 雑誌
- 静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.2, pp.661-666, 2013 (Released:2013-04-24)
- 参考文献数
- 16
【目的】ビタミン群の欠乏は認知機能障害の原因となることがある。認知機能障害をともなう低栄養が疑われた患者においてニコチン酸濃度を中心に種々の栄養指標を測定して、解析を行った。【対象と方法】平成21年6月から平成23年8月まで当院を受診した患者55名を対象とした。調査項目は、年齢、性別、身長、体重、BMI、血清総蛋白濃度、血清アルブミン濃度、白血球数、リンパ球数、血清ビタミンB1濃度、血清ビタミンB12濃度、血清ニコチン酸濃度、飲酒歴の有無などであった。【結果】ニコチン酸濃度は、低栄養患者のアルブミン濃度、総蛋白濃度、小野寺の予後栄養指数と相関関係を示したが (p<0.05) 、他のビタミン濃度はそれらと相関関係を示さなかった。【結論】ニコチン酸欠乏はペラグラ脳症で知られる認知症類似の症状をきたすことが知られている。認知機能障害をともなう低栄養患者のなかに、欠乏症が潜在している可能性が示唆された。低栄養患者に対してビタミンを投与する際はニコチン酸の併用が必要と考えられた。