著者
高岡 昭生 岩切 浩 藤原 直樹 石川 延男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2161-2168, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
11

ヘキサフルオロプロペンはジアルキルアミンと発熱的に反応して付加体のα,α-ジフルオロアルキルアミンと置換体のeα-フルオロエナミンとの混合物を生成するが,このHFP-R2NH(またはHPDA)試薬はアルコールおよび力ルボン酸の良好なフッ素化剤であることがわかった。この試薬はクロロトリフルオロエテンにジエチルアミンを作用して得られるFAR(またはYarovenko試薬)よりも合成が容易でかっはるかに安定で貯蔵性に優れていた。さらにHFP-R2NH試薬にアミン類を反応させると,N2-アリール(またはアルキル)-2,3,3,3,-テトラフルオロプロピオンアミジン類が得られた。また2-アミノフェノール,o-フェニレンジアミン,2-アミノチオフェノールおよび2-アミノベンズアミドなどのオルト二官能性ベンゼン誘導体にHFPEt2NH試薬を作用させると対応する2-(1,2,2,2-テトラフルオロエチル)-置換ベンゾオキサゾール,ベンゾイミダゾール,ベンゾチアゾールおよび2-(1,2,2,2-テトラフルオロエチル)-4(3H)-キナゾリノンなどが容易に合成できた。そのう,え,HFP-R2NH試薬は尿素類と反応させるとNl,Ni-ジアルキル-N2-カルバモイル-2,3,3,3-テトラフルオロブロピオンアミジンが得られ,これをアルコキシドで閉環させ6-アルコキシ-1-アルキル-5-フルオロシトシン類を得ることができた。