著者
山本 和奈 岩島 覚 西尾 友宏 塩澤 亮輔 久保田 晃 三牧 正和
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.967-973, 2019-05-01

ブラインドやカーテン留め等のひも状部分が偶然,子どもの頸部に絡まり,縊頸をきたす事故が報告されている.この事故は世界的にも問題になっており,判明しているだけでも世界15か国で250件以上の死亡事故が報告されている.残念ながら,本邦でもブラインドひもによる小児縊頸事故は発生している.ほとんどの事故死は,啓発により予防することができると考えられるが,本件に関しては発生件数が減少していないのが現状である.われわれ小児科医は保護者や企業,行政と協力し,小児縊頸事故の予防,対策に徹底的に取り組む必要がある.最近,われわれは「ブラインドひもによる縊頸の1例」を経験した.本稿では,小児縊頸事故についての現状を把握し,この事故を防ぐために,現状ではどのような問題が存在し,事故を予防するにはどのような対策が必要なのか,具体例を交えて考察する.
著者
岩島 覚 黒川 啓二 田中 靖彦 黒嵜 健一 斎藤 彰博
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.298-304, 2000-04-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
15

1986年1月1日~98年9月30日までに当院にて主疾患が膜様部心室中隔欠損症と診断された764例中,大動脈弁逸脱を認めた11例(1.4%)について検討した.大動脈弁逸脱発症時年齢は9カ月~10歳(平均4歳6カ月)で2歳未満に4例みられた.発症時の心エコー所見では膜様部VSD のpeak velocityは平均4.0m/sec,%LVDdが平均113%であった.心カテは7例(のべ12回)に施行され,平均肺動脈圧は平均25mmHg,Qp/Qsは平均2.0,左右短絡は平均47%であった.逸脱弁尖は右冠尖(RCCP)単独が7例,右冠尖と無冠尖(NCCP)の両弁尖が4例で全例にARを認めた.心エコーにおいて観察されたARのcolor flow(CF)の方向は主にRCCPが単独に認められた症例においては僧帽弁前尖方向に向かい,RCCP,NCCPの両弁尖が認められた症例においては主に心室中隔方向に向かっていた.2例においてCFの方向が経過観察中に変化した.心エコーにおける逸脱弁尖の診断はRCCP単独例においては左室長軸にて観察され,RCCP,NCCP両弁尖例では大動脈弁短軸にて観察されるが,RCCP,NCCP両弁尖例は描出しにくくARのCFの方向が逸脱弁尖の診断に有用である可能性が示唆された.
著者
櫻井 史紀 岩島 覚 早野 聡 佐藤 慶介 芳本 潤
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.181-187, 2020-02-15 (Released:2021-04-22)
参考文献数
23

成人先天性心疾患に神経性食指不振症を合併し経過中に心房粗動(atrial flutter;AFL)を発症した19歳女性を経験した.症例は生後に心雑音に気づかれventricular septal defect(VSD perimenbranous type),pulmonic stenosis(PS, valvular and subvalvular stenosis)と診断.3歳3カ月時に人工心肺管理下にVSD閉鎖術,右室流出路形成術施行.術後経過は良好であったが,16歳頃より神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)と診断され,その頃より動悸を自覚,入浴後に突然動悸が持続し救急外来受診,AFLが疑われたが,不整脈治療準備中に自然頓挫し動悸の症状も消失した.不整脈発症前の心臓MRI検査で右房右心系の拡大とpulmonary regurgitation fraction 39.8%を認め,ANの治療が長期に及ぶ可能性があったため心臓電気生理学検査を施行,三尖弁輪を反時計方向に旋回する頻拍が誘発されAFLと診断,アブレーション療法施行.その後の経過は良好であった.成人先天性心疾患症例では経年的に不整脈を合併するリスクがあるがAN等,不整脈を合併しやすい病態を合併した場合,さらに不整脈発症のリスクが高まる可能性があるため注意深い観察が必要と思われた.