著者
岩崎 英治 仲井 大樹 山本 寧音
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.23-00035, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
12

鋼トラス橋は,他の橋梁形式に比べて,構造冗長性は高くなく,主構部材の損傷により橋梁全体の構造安定性を損なう恐れがある.一方,鋼トラス橋は多くの骨組部材で構成されているため,腐食損傷の発生パターンは多様であり,損傷部位の力学的な合理性に基づいた定量的な健全性の診断方法は確立していない.トラス橋の斜材の断面は,鋼板のすみ肉溶接や部分溶け込み溶接により構成することが多く,溶接部に腐食減肉を生じると分離することがある.そして,腐食切れの範囲が長くなると,圧縮斜材では構成する板の局部座屈を生じる可能性がある.そこで,圧縮斜材の柱としての全体座屈と斜材を構成する板の局部座屈の連成座屈強度による健全性レベルの分類を示す.また,腐食切れ部を含んだ板の座屈強度式,および連成座屈評価式を提案する.
著者
岩崎 英治 中嶋 龍一朗 多和田 寛 石井 一騎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.440-457, 2018
被引用文献数
1

積雪寒冷地では,スパイクタイヤの使用禁止以降,凍結防止剤として大量の塩化物を散布しているため,路面上の凍結防止剤の飛散による腐食事例が報告されている.しかし,路面上に散布された凍結防止剤の散布量と鋼桁部への飛来量の関係や腐食に関する十分な知見は得られておらず,凍結防止剤を散布する地域に関しては,高知道での鋼材の腐食状況に基づいた配慮事項があるのみである.そこで,長野県内の平地部に建設された上信越道と長野道の複数の橋梁,高知県と愛媛県の県境付近の高知道の複数の橋梁を対象に,凍結防止剤の散布量と鋼桁部への飛来量,鋼材の腐食量の関係を定量的に調べた.また,凍結防止剤を散布する地域での耐候性鋼橋の適用性に関する検討を行った.