著者
岩本 雅也 土井 幸輝 戸川 達男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.81, pp.21-24, 2006-05-20
参考文献数
7

聴覚器官は機械的構造をもつことから,熱膨張や組織の弾性率の温度特性により絶対音感(AP)に体温の影響があると考えられる.そこで本研究では,体温がAPにどのように影響するのかを調べた.純音発生器を用いてAP保持者自身の音高でA4(440Hz)に調節するように指示し,同時に耳式赤外線体温計によって鼓膜温度を測定した.その結果,被験者が440Hzと認識した周波数と体温には,限定的な期間において高い相関(R^2=0.7以上)が見られ,温度係数が約-3Hz/Kであることがわかった.このことから,極限の周波数弁別能力を達成するためには,蝸牛内の体温は約0.1Kの精度で調節される必要があると考えられる.