著者
岩本 雅也 土井 幸輝 戸川 達男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.81, pp.21-24, 2006-05-20
参考文献数
7

聴覚器官は機械的構造をもつことから,熱膨張や組織の弾性率の温度特性により絶対音感(AP)に体温の影響があると考えられる.そこで本研究では,体温がAPにどのように影響するのかを調べた.純音発生器を用いてAP保持者自身の音高でA4(440Hz)に調節するように指示し,同時に耳式赤外線体温計によって鼓膜温度を測定した.その結果,被験者が440Hzと認識した周波数と体温には,限定的な期間において高い相関(R^2=0.7以上)が見られ,温度係数が約-3Hz/Kであることがわかった.このことから,極限の周波数弁別能力を達成するためには,蝸牛内の体温は約0.1Kの精度で調節される必要があると考えられる.
著者
田村 俊世 小川 充洋 依田 美紀子 戸川 達男
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7-8, pp.993-998, 1998-07-01 (Released:2009-10-02)
参考文献数
12
被引用文献数
3

The aim of this study was to provide adequate home health monitoring in the home by using fully automated biosignal measurement to support daily health care and to improve quality of life. We attempted to develop a home health monitoring system that did not provide any restrictions during sleep. bathing or elimination. A set of room containing a bedroom. bathroom. and toilet room was constructed. The system consisted of monitoring devices and a computer terminal for collecting data. The data were automatically collected from the monitoring devices placed at the bed, bath, and toilet and were transferred to a data terminal in the bedroom and stored for further analysis. The data acquisition system is now being used for seven days and data are collected without any trouble.
著者
山越 憲一 戸川 達男 神谷 瞭 藤井 禎三 土屋 喜一
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.296-302, 1976-08-30 (Released:2011-03-09)
参考文献数
9

From the point of the optimal theory, the relationship between the branching structure and the mechanical characteristics of a tree was analysed in reference with such parameters as circum-ference, weight, bending moment, branch length and-branching angle, The study was based on a hypothesis that the optimal structure of a tree agrees the minimum energy loss.The total energy loss is the sum of the energy required for the construction which is proportional to the wood' volume of the branches and the energy consumption for supporting the weight of the branches and leaves which is equal to the elastic. strain energy. Results derived theoretically from the hypothesis are as follows : 1) The Maximum bending stress at each branching point is constant.2) The relation between the circurmference (C) at some point and the bending moment (T) acting on the branch is, T∝C3. 3) The relation between the weight (W) of all the parts of the tree peripheral to some branching point and C is, W∝C2.5. 4) The relation between T and W is, W∝T5/6. 5) The relatlon between the branch length (l) and C is, l2 ∝C. 6) When C0, C1, C2 are the circumferences of the mother and daughter branches and θ1, θ2 are their branching angles, the following optimal conditions for a dichotomy are derived;C02.5= C12.5+C22.5 and C13/ sinθ2=C23/ sinθ1.These relations were examined, by measuring the varying size of branches, 76-286 in all, on seven different kinds of trees, and the very good agreements between the theoreiical and actual relations were confirmed.
著者
戸川 達男
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.156-160, 1988-03-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
15

臨床検温は水銀体温計によって確立され今日に至っているが, 電子体温計をはじめ, いろいろな体温計測機器が臨床に導入されるようになり, 検温の方法が変わりつつある. しかし, 多くの体温計測機器は完成度が低く, 問題が多い. 検温法の見直しとともに, 完成度の高い機器の開発が望まれる.
著者
戸川 達男
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

恒温動物の精密な体温調節が進化したのは、聴覚による周波数弁別機能が適応度に寄与し、聴覚が温度依存性を持つことによるという仮説を裏付けるため、絶対音感保持者の音感の体温依存性を調べることを計画した。音感の測定のため、レバーで周波数が可変できる音源(2台)を用い、7名(男性1名、女性6名)の絶対音感保持者を被検者とし、A音(440Hz)を決定させ、決定周波数を0.1Hzの精度で測り、測定直後の体温を耳式体温計で計測した。測定は最長2ヶ月間毎日2回行った。その結果、若干例において決定周波数が体温に依存する傾向が認められたが、体温の上昇時に周波数が低下する例(最大約4HZ/℃)が多かったものの、逆の傾向を示した例もあり、現時点ではまだ結果をまとめる段階に至っていない。短期間の体温の増減と決定周波数の変動には相関が見られることから、体温と音感には何らかの関係があることが示唆されている。被検者の中には5Hz(半音の約1/5)以下の誤差でA音を決定できる者がおり、周波数および体温の測定精度も十分であったが、大きな体温変動が見られなかったため、聴覚の温度依存性を裏付けるに十分なデータを得るには至らなかった。短時間では周波数決定の再現性が高いことから、計測精度は十分であるが、体温以外に周波数決定に影響を与えている要因がある可能性が高いので、その要因を特定することも今後の課題である。今後さらに例数を増すとともに、体温変化の大きい場合の観察を期待しており、十分なデータを得た時点で発表する予定である。
著者
戸川 達男 斉藤 浩一 大塚 公雄 山越 憲一 小川 充洋
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、戸川らがコンセプトを提唱し、実際に研究を進めてきた高齢者の健康状態を在宅でモニタするための技術のさらなる開発を進めるものである。これらの技術の特色は、家屋および家具にモニタ機器を組み込むことにより、被検者の日常生活を妨げずに生理量や行動を計測するというところにある。被検者は無侵襲かつ無拘束で計測が可能であり、計測は自動化されており煩雑な機器操作を求められない。また、計測されていることすら意識させずに在宅で計測が遂行可能である。本研究では、これまでの研究成果を実用化するため、長期間にわたってデータを収集し、得られたデータの解析・解釈の方法を確立することを目的とした。具体的には、このために一般家庭で使用できるシステムを開発することをねらいとした。研究においては以下を行った。まず、独居被験者を対象とした生理量および行動モニタリングのためのシステムを構築し、モニタリング実験を行い、連続3ヶ月以上のメンテナンスなしでのモニタリングが可能であることを実証した。また、3世代家庭においても行動センサを用いてのモニタリングを行なった。また、小型の3軸加速度および3軸磁気センサを内蔵した腕時計型データロガーを開発し、生活行動中の測位が可能であるかどうかについて検討した。また、収集した行動データの定量評価法の開発を試み、具体的な評価法を示した。生理量モニタりんぐについては、ベッド内温度計、浴槽内心電計、トイレ体重計を用いた1ヶ月以上の連続計測を示したほか、トイレ体重計を改良した。また、被験者のプライバシや家庭に導入するモニタ機器のセキュリティに関して検討を行った。結果、本研究においては、長期の在宅健康モニタリングと、それを支援するための定量的評価プロセスが可能であることを示した。なお、被験者のプライバシ保護については更なる議論が必要と考えられた。