- 著者
-
川喜田 睦司
岩村 正嗣
- 出版者
- 日本泌尿器内視鏡学会
- 雑誌
- Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.1, pp.20, 2019
<p> 1992年にわが国ではじめて副腎腫瘍に対し腹腔鏡手術が行われてから四半世紀が経過した. 2004年より施行されている腹腔鏡技術認定制度の合格率は, 当初60%台であったが, 徐々に低下しこの数年50%そこそこと低迷している. 腎癌に対し部分切除術を適応することが多くなり症例数が減ってきていることが原因のひとつであるが, 指導者の世代交代が進んできていることもその要因と推測される. 初心者を対象にした講習会や学会での企画は毎年開催されるが, 指導者を育てるものは多くない. 今回の企画はその意味において時宜を得たものと思われる.</p><p> まず教えられる立場として, 技術認定を取得されて間もない秋田大学の神田先生から, 教わる側の心得, 技術向上に向け実践したこと, 教える側に希望することを解説戴く. 引き続き指導者の立場として, 北里大学の藤田先生から手術室教育と手術室外教育に分けて初心者教育を解説戴く. 岡山大学の小林先生には, 症例数の減少の中でいかに効率的に教育するか, ロボット支援手術との相補的教育について解説して戴く. 京都大学の澤田先生からは, スコピスト, 助手, 執刀医にわけて, 習得すべき具体的な手技を解説戴き, 最後に名古屋医療センターの吉野先生から, イメージングスキルの向上と具体的な合併症の事例から危機予知能力をいかに高めるかを解説して戴く.</p><p> 技術認定取得前の先生方はもちろん, 認定医を取得されてかなり時間が経っておられる先生方にも是非ともご一読戴き, 各施設の腹腔鏡技術の向上, 伝承のお役に立てれば幸いである.</p>