著者
坪井 俊樹 松本 和将 入江 啓 平山 貴博 津村 秀康 平井 祥司 佐藤 威文 岩村 正嗣 馬場 志郎 高山 陽子
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.281-283, 2006-04

31歳男.2年間のアフリカ・南米・中近東旅行から帰国後, 肉眼的血尿, 排尿障害を自覚した.アフリカ滞在中, マラウィ湖で遊泳をしたことがあった.超音波検査, 膀胱鏡検査では, 膀胱に, 黄白色の腫瘤性病変を多数認めた.検尿で特異的虫卵を認め, ビルハルツ住血吸虫症を疑った.経尿道的に膀胱内腫瘤を切除した.組織標本には住血吸虫卵を中心に多数の肉芽腫性, 炎症性変化を認め, ビルハルツ住血吸虫症と診断した.praziquantelの2日間投与により肉眼的血尿は速やかに消失し, 尿中ビルハルツ住血吸虫卵も減少した.治療後1年経過現在, 変性した虫卵が微量に検出されているが, 再発の徴候はない

1 0 0 0 序文

著者
川喜田 睦司 岩村 正嗣
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.20, 2019

<p> 1992年にわが国ではじめて副腎腫瘍に対し腹腔鏡手術が行われてから四半世紀が経過した. 2004年より施行されている腹腔鏡技術認定制度の合格率は, 当初60%台であったが, 徐々に低下しこの数年50%そこそこと低迷している. 腎癌に対し部分切除術を適応することが多くなり症例数が減ってきていることが原因のひとつであるが, 指導者の世代交代が進んできていることもその要因と推測される. 初心者を対象にした講習会や学会での企画は毎年開催されるが, 指導者を育てるものは多くない. 今回の企画はその意味において時宜を得たものと思われる.</p><p> まず教えられる立場として, 技術認定を取得されて間もない秋田大学の神田先生から, 教わる側の心得, 技術向上に向け実践したこと, 教える側に希望することを解説戴く. 引き続き指導者の立場として, 北里大学の藤田先生から手術室教育と手術室外教育に分けて初心者教育を解説戴く. 岡山大学の小林先生には, 症例数の減少の中でいかに効率的に教育するか, ロボット支援手術との相補的教育について解説して戴く. 京都大学の澤田先生からは, スコピスト, 助手, 執刀医にわけて, 習得すべき具体的な手技を解説戴き, 最後に名古屋医療センターの吉野先生から, イメージングスキルの向上と具体的な合併症の事例から危機予知能力をいかに高めるかを解説して戴く.</p><p> 技術認定取得前の先生方はもちろん, 認定医を取得されてかなり時間が経っておられる先生方にも是非ともご一読戴き, 各施設の腹腔鏡技術の向上, 伝承のお役に立てれば幸いである.</p>
著者
平山 貴博 松本 和将 入江 啓 岩村 正嗣 工藤 治 岩淵 啓一 青 輝昭 内田 豊昭 馬場 志郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.179-182, 2007-03

66歳女。膀胱鏡検査で頂部に最大径4.0cmの多発乳頭状広基性腫瘍を認め経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を施行し, 病理組織診断はtransitional cell carcinoma(TCC), G1, pT1であった。その後, 再発を頻回くり返しTURBTを施行し, THP-ADM膀胱内注入療法を12回施行したが頂部に単発乳頭状腫瘍の再発を認めTURBTを施行した。この術前検査で右肺野単発結節状陰影を認め尿細胞診はclassII, 肺胞線状細胞診はclassVを認め, CTより右S3に約1cmの結節状陰影を認めたが遠隔転移巣は認めず胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した。病理組織診断はTCC, G1で膀胱癌の肺転移と診断した。3ヵ月後に頂部に約5mmの乳頭状腫瘍を4ヶ所認め, BCG膀胱注入療法6回施行し, 同部位に残存を1ヶ所認めTHP-ADM膀胱内注入療法を6回施行したが, 腫瘍増大のためTURBTを施行した。病理診断はTCC, G1, pTaで術後BCG膀胱内注入療法を6回施行し, 現在に至るまで胸部も含め再発を認めていない。