著者
岩澤 真理 中村 悠美
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

申請者らは新規C. albicans経表皮感染マウスモデルを確立し、感染初期における菌体排除に、Type3 innate lymphoisd cellsとγδT 細胞によるIL-17産生が重要であることを見いだした。一方、先天的な遺伝子異常により難治性・再発性の口腔・皮膚のカンジダ症を表現型とする、Chronic mucocutaneous candidiasis disease がヒト疾患として報告されている。この疾患のヒト末梢血細胞では、CD4+T細胞によるIL-17産生の障害が疾患の発症に重要であると報告され、我々のマウスの系で明らかにした細胞と異なる。この相違は、獲得免疫系でCD4+Th17細胞の役割が重要であることに依存していると考え、本研究ではすでに確立したC. albicans経表皮感染マウスモデルを発展させ獲得免疫系におけるIL-17産生細胞の解析を行い、C. albicansに対する獲得免疫系の役割を明らかにする。通常、抗原への初回暴露後αβT細胞の出現は、7日目位から3週間後をピークとする事が知られているので、マウスへのC. albicans 経表皮暴露後7日、14日、21日におけるIL-17産生CD3+, αβTCR+, CD4+細胞の誘導を感染局所および所属リンパ節の細胞を用いて観察した。なお、感染免疫においては、αβTCR+分画において、CD4+細胞以外にもCD8+陽性細胞もIL-17産生に関与することが知られているので同様にCD8+陽性細胞の分画も解析を行った。現時点までに、C. albicans経表皮暴露後の獲得免疫系の異差を検出できておらず、実験系の検討が必要であると考えられた。
著者
岩澤 真理 寄藤 和彦 戸井田 敏彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.11, pp.2165-2171, 2009-10-20 (Released:2014-11-28)

コンドロイチン硫酸・鉄コロイド注射液(以下ブルタール®)は鉄欠乏性貧血の治療に使用される鉄コロイド製剤である.我々は成田赤十字病院皮膚科外来にて,平成18年3月から5月にかけて,ブルタール®による薬疹4例を経験した.従来原料として使用していたウシ由来のコンドロイチン硫酸ナトリウムを,平成17年11月サメ由来品に変更後より副作用報告が急増した.平成18年7月よりブルタール®の自主回収が実施され,被害の増加は防がれたが,原因は解明されていない.今回我々は,ブルタール®の材料に使われたコンドロイチン硫酸を分析し,その結果,ウシ由来のコンドロイチン硫酸は4位に硫酸基が結合したN-アセチルガラクトサミン(CSA)が主たる成分であり,サメ由来のコンドロイチン硫酸は6位の硫酸基が結合したN-アセチルガラクトサミン(CSC)が主たる成分であった.ヒトのコンドロイチン硫酸はCSAが主成分であることが知られており,硫酸化度,分子量などの構造の変化により薬疹を生じた可能性を推測した.
著者
岩澤 真理 寄藤 和彦 戸井田 敏彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.11, pp.2165-2171, 2009

コンドロイチン硫酸・鉄コロイド注射液(以下ブルタール<sup>®</sup>)は鉄欠乏性貧血の治療に使用される鉄コロイド製剤である.我々は成田赤十字病院皮膚科外来にて,平成18年3月から5月にかけて,ブルタール<sup>®</sup>による薬疹4例を経験した.従来原料として使用していたウシ由来のコンドロイチン硫酸ナトリウムを,平成17年11月サメ由来品に変更後より副作用報告が急増した.平成18年7月よりブルタール<sup>®</sup>の自主回収が実施され,被害の増加は防がれたが,原因は解明されていない.今回我々は,ブルタール<sup>®</sup>の材料に使われたコンドロイチン硫酸を分析し,その結果,ウシ由来のコンドロイチン硫酸は4位に硫酸基が結合したN-アセチルガラクトサミン(CSA)が主たる成分であり,サメ由来のコンドロイチン硫酸は6位の硫酸基が結合したN-アセチルガラクトサミン(CSC)が主たる成分であった.ヒトのコンドロイチン硫酸はCSAが主成分であることが知られており,硫酸化度,分子量などの構造の変化により薬疹を生じた可能性を推測した.