著者
鈴木 眞一 鈴木 聡 岩舘 学 立谷 陽介 芦澤 舞 大河内 千代 中野 恵一 中村 泉 福島 俊彦 水沼 廣 鈴木 悟
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.7-16, 2017 (Released:2017-04-28)
参考文献数
18

小児甲状腺癌は稀な疾患とされているが思春期若年成人では決して稀ではない疾患である。その超音波所見につき解説する。小児若年者の甲状腺癌の大半は乳頭癌であり,なかでも多くが古典型と言われる通常型である。浸潤型が多く境界不明瞭でリンパ節転移が多い。さらに特殊型のびまん性硬化型乳頭癌類似の腺内散布像を認める。特殊型もあることを念頭に置くが,通常の乳頭癌の術前診断が重要であり,ドプラ法,エラストグラフィも組み合わせ診断する。術前術後のリンパ節の評価には超音波診断が重要である。小児若年者甲状腺癌に関しては術前術後の超音波検査は極めて重要である。
著者
岩舘 学 松本 佳子 塩 功貴 鈴木 聡 水沼 廣 鈴木 眞一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.175-179, 2021 (Released:2021-11-27)
参考文献数
32

小児若年者の甲状腺癌は成人と比べ稀であり,組織型としては90%が乳頭癌であり,濾胞癌,髄様癌は少ない。BRAFV600E変異は成人の甲状腺乳頭癌で最も多くみられる遺伝子変異であり,散発性の小児若年者甲状腺乳頭癌は8.8~63%と論文の報告によってさまざまであるが若年者ほど頻度は少ない傾向である。福島原発事故後の小児若年者甲状腺癌では,20代以上が多く含まれているため全体としてBRAFV600E変異は69.6%であった。また,小児若年者甲状腺癌にみられる遺伝子異常はRET/PTC融合遺伝子やNTRK融合遺伝子が成人よりも多いとの報告が多く,特にRET/PTC1は放射線非被ばく小児例で多くみられる。一方,RET/PTC3はチェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺乳頭癌で多く認められる。高齢者にみられるTERTプロモーター変異は小児若年者の散発性甲状腺乳頭癌ではほとんど認めない。
著者
鈴木 眞一 塩 功貴 松本 佳子 鈴木 聡 中野 恵一 岩舘 学 水沼 廣
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.87-91, 2021 (Released:2021-09-25)
参考文献数
12

甲状腺癌手術における手技のなかで,反回神経,Berry靭帯周囲の操作および副甲状腺の温存について解説した。基本的には被膜剝離法(CD)で行う。True capsuleとfalse capsuleの構造を理解し,この方法で副甲状腺や反回神経がfalse capsule内に温存される。また下甲状腺動脈と反回神経が交差することとそのバリエーションを理解し,その損傷原因も理解しながら手術を行うことが反回神経損傷を防ぐ重要な点である。またBerry靭帯やZuckerkandlの結節も反回神経温存には欠かせない解剖知識である。さらに術中神経モニタリングが多く使用される昨今,モニタリングの使用に有無での利点欠点についても述べた。小切開や内視鏡手術でも基本的に同様の概念で行うが,操作野が小さく甲状腺外背側の牽引,脱転が不十分になりかねず,CDが不十分になりやすいためIONMなどでの確認が必要である。