著者
島田 正文 葉山 嘉一 大澤 啓志 間野 伸宏 岩野 秀俊
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.29(第29回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.13-16, 2015-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
7

本研究は,藤沢市で行われた「藤沢市自然環境実態調査」を事例に,地域の生物に関する専門知識を有する市民と研究機関,行政の協働による調査の有効性について実証的に追求したものである。その結果は以下のようにまとめられる。協働の各主体は,調査方法や調査結果の解析・評価に至る全般に渡って関わった。特に,日本大学などの研究機関は,生物の分類群ごとの意見調整から調査全体のとりまとめに至るまで,各主体間の合意形成への中心的役割を果たした。本研究では,組織された3 種類の会議体を通じて,調査方法や結果の活用方法等が主体間で共有化されるなど本調査方法の有効性,調査の持続性等に関わる今後の課題が把握された。
著者
岩野 秀俊 山本 嘉彰 梅村 三千夫 畠山 吉則
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.327-334, 2006
参考文献数
24
被引用文献数
2

関東南部においてトチノキが分布しない地域でスギタニルリシジミの分布範囲が拡大しているが,それらの地域での本種の食樹を明らかにするため現地調査を実施した.神奈川県津久井町および箱根町から数種植物の花や花蕾,幼蕾を持ち帰り、幼虫の発見に努めた.津久井町ではスギタニルリシジミの食樹として,ミズキならびにヤマフジを利用しさらに相模湖町ではハリエンジュも食樹の一つである可能性が高いことが判明した.また箱根町では新たにキハダの幼蕾から多数の幼虫が見つかったため,食樹と認定した.県内のトチノキ非分布域では新食樹に寄主転換することで,分布勢力の拡大を計っていることを示唆した.