著者
大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.329-333, 2000-03-29
参考文献数
6
被引用文献数
4 2

横浜市の代表的な谷戸を活かした農的空間(寺家ふるさと村・舞岡公園)において、春季における利用実態および利用者意識の調査を行った。利用者数は,連休期間の最終日が最も多く,3,000人以上/日であった。アンケート結果によると利用圏は概ね10km圏域であり,特に隣接2区からの利用者割合(約60〜65%)が多くなっていた。利用者の多くは、谷戸地形独特のランドスケープに即した農的景観・自然を楽しむレクリエーション形態であった。谷戸を活かした農的空間は,幅広い層の都市住民に多目的に活用される都市緑地として意義深く,地形的にまとまった形で谷戸を保全することが望まれる。
著者
村上 裕 大澤 啓志
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.187-198, 2008-11-30
被引用文献数
2

愛媛県中予地域において、水稲栽培型とトノサマガエル・ヌマガエルとの関係を調査した。現地調査は、2005年に130地点のカエル類分布調査を、2000〜2005年に水稲栽培型調査を実施した。過去の栽培型(1958年)については資料調査とし、地域別の栽培型ごとの面積と品種数を明らかにし、2000〜2005年は水稲栽培型で区分した地図を作成した。1958年と比較して2000〜2005年の平野部における水稲栽培型の多くが短期栽培に変化し、普通期栽培品種においても栽培期間の短期化が進行していた。これに対して山間部の水稲栽培型は品種の変遷はあるものの、栽培型や栽培期間に大きな変化は認められなかった。標高と栽培型との関係では、早期栽培は標高50m以上にほぼ均一に分布していたが、短期栽培は標高20m以下に集中傾向がみられた。トノサマガエルは22地点(生息確認率16.9%)、ヌマガエルは40地点(同30.8%)で生息確認が得られた。標高と両種の関係は、トノサマガエルが標高による明瞭な傾向を示さないのに対して、ヌマガエルは低地依存性があることが明らかになった。栽培型と両種の関係では、トノサマガエルは水稲栽培期間の短期化によって生息地域が減少することが明らかになった。一方、ヌマガエルの生息確率は水稲栽培期間の短期化には影響を受けていなかった。以上のことから、トノサマガエルは標高よりも栽培型に影響を受けるが、ヌマガエルは栽培型よりも標高に影響を受けることが明らかになった。短期栽培は、栽培期間が短いため、兼業農家においても取り組みやすい栽培型である一方、水田を二次的自然環境として利用しているカエル類、特にトノサマガエルの生息に負の影響を及ぼしていると考えられた。
著者
七海 絵里香 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.123-126, 2011-08-31

山上憶良が詠んだことにはじまる秋を代表する野草である秋の七草は,その姿の美しさや風情を楽しむことで,古くから様々な人々に親しまれてきた。今回,日本最古の歌集である万葉集の中で秋の七草が詠み込まれた歌から,万葉集が編纂された時代の秋の七草の主な生育立地を把握し,「野」「山・岡」「庭」「街・里」に分類した。その結果,七草全体では「野」が最も多く,植物種によって差があるものの,身近に野草を置こうとする歌人の意向から庭に植えたと考えられる植物種も多数見られた。特にナデシコは栽培されたものを詠んだ歌が多く,ハギは様々な立地に幅広く生育するものが詠まれていた。
著者
飯田 晶子 大澤 啓志 石川 幹子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.319-324, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
21

本研究では、南洋群島の旧日本委任統治領、パラオ共和国バベルダオブ島の3つの流域で行われた農地開拓とボーキサイト採掘を事例に、開拓の実態と現代への影響を分析した。農地開拓では、島内に4つの指定開拓村が設置され、1940年には合計1671人が2255町歩の土地に暮らし、主にパイナップルやキャッサバが栽培された。一方で、日本人が撤退した後65年を経た現代においても、当時の森林伐採と土地収奪的な営農による植生への影響、および、移入種Falcataria moluccanaによる固有種への影響が見られる。ボーキサイト採掘地は、島内2カ所に合計106ha設置され、島の一大産業であった。開拓面積は小さいものの、表土を剥がしとったために、採掘当時は多量の土砂が流出し、湿地と沿岸域に堆積した。また、パラオ人集落でも、土砂の埋立てと集落移転、インフラ設備の再利用、産業遺産の観光化など、少なからず日本の影響が見られる。開拓はいずれも水系を軸として流域を単位に進められており、開拓の影響は沿岸の生態系やパラオ人集落など、流域内の自然や社会に対して広域、かつ長期にわたる影響を与えている。
著者
七海 絵里香 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.443-446, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
15
被引用文献数
3

The leaves of Oshima cherry (Prunus Wilson var. speciosa Makino) are edible and used to wrap sakuramochi. Seventy percent of leaves of the Oshima cherry are produced in Matsuzaki town, Izu Peninsula. In this town, cherry trees are cultivated for harvesting their leaves. These trees are closely planted and pruned, enabling them to grow many tillers, which spread out and form the distinctive landscape in this area. In this study, we investigated the actual distribution, forming process of leaves in cherry tree fields, and change in the production process in Matsuzaki town. From the results, we assumed that the number of cherry trees planted corresponded to the amount of charcoal produced. However, the field cultivation method of cherry trees was devised only by the end of the 1960s, after the production of charcoal decreased due to an energy revolution, which resulted in a crisis in the cherry tree leaf production. It was considered that cherry tree fields were distributed throughout Matsuzaki town. However, our results show that these fields are unevenly distributed.
著者
島田 正文 葉山 嘉一 大澤 啓志 間野 伸宏 岩野 秀俊
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
巻号頁・発行日
pp.13-16, 2015-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
7

本研究は,藤沢市で行われた「藤沢市自然環境実態調査」を事例に,地域の生物に関する専門知識を有する市民と研究機関,行政の協働による調査の有効性について実証的に追求したものである。その結果は以下のようにまとめられる。協働の各主体は,調査方法や調査結果の解析・評価に至る全般に渡って関わった。特に,日本大学などの研究機関は,生物の分類群ごとの意見調整から調査全体のとりまとめに至るまで,各主体間の合意形成への中心的役割を果たした。本研究では,組織された3 種類の会議体を通じて,調査方法や結果の活用方法等が主体間で共有化されるなど本調査方法の有効性,調査の持続性等に関わる今後の課題が把握された。
著者
一ノ瀬 友博 高橋 俊守 加藤 和弘 大澤 啓志 杉村 尚
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-13, 2008-06-30 (Released:2009-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
4 2 1

Biotope (habitat) type maps are essential as base maps for land use planning and biodiversity conservation. Actual vegetation maps are often used as the base maps, though important information for biotope evaluation such as vegetation structure and anthropogenic land modification is not shown enough. We proposed a procedure of biotope type mapping for rural areas and drew a prototype map. We classified biotope types following German system of biotope classification in some part and also considering soil moisture of rice paddies in winter, bank modification of irrigation canals, vegetation management frequency in grasslands and density of woodland understory.
著者
大澤 啓志 新井 恵璃子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.337-343, 2016 (Released:2017-03-16)
参考文献数
60

花木であるアジサイの植栽利用に関わる文献類の渉猟を行い,その植栽に対する嗜好の時代変遷を考察した。また,観光対象としてのアジサイ寺の成立時期について,文献・ヒアリング調査を行った。嗜好の時代変遷では,鎌倉時代頃から庭への植栽が普通となり,江戸時代にはアジサイの栽培・増殖法も記された出版物が発刊されるとともに,「花が多数群れ咲く」ことへの嗜好の萌芽が認められた。明治以降も庭への植栽は普通に行われており,またセイヨウアジサイの輸入が始まり,公園等に群植がなされていた可能性もあるものの,直ぐには今日のようなブームにはならなかった。この間,「アジサイと社寺」の関わりを示す資料が認められた。そして 1960年代以降になって明月院 (神奈川県鎌倉市) に群生するアジサイが多くの人の目に止まり,これまでには無かった新たな観賞価値がアジサイに付与され,今日的な嗜好が確立されたと考えられた。各地で植栽される観賞用の緑化植物の一つであるアジサイについて,「庭の花木」を経て「社寺の花」という文化を底辺に持ちつつ,今日の「群生する花の美」の価値が生じた過程を明らかにした。
著者
大澤 啓志
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.291-296, 2015

It was investigated about the domestication proses of <i>Acorus calamus</i>, the cultivation method, the characteristics of distribution and landscape of <i>A. calamus</i> field in Kitaura district, Namekata city. The cultivation involves clone propagation by a subterranean stem, and the domestication of <i>A. calamus</i> has been tried from 1983 in this district. Total of 43 sites and 7.5 ha of <i>A. calamus</i> fields were observed in 2014 at low land in Kitaura lakefront area mainly. It was the feature of <i>A. calamus</i> field that collective common farming is seen at the harvest season before a Boys' Festival.
著者
大澤 啓志 清水 由紀奈
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Special_Issue, pp.263-268, 2013-11-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The project which uses the wild boar meat by the measure against wildlife damage of Nakagawa town as a local specialty was investigated. The opportunity of the project originated in the dense relation between the local administration and a hunting group. In order to solve the subject of the area, administration was promoting the project by the implementation structure which connected each sector. The increase in a hunter's hunting volition and strengthening of a sense of solidarity with a local activity, and promotion of the eagerness to sell of the specialty by the wild boar meat of a retail store were accepted as a result of this project.
著者
七海 絵里香 森崎 翔太 大澤 啓志
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.74-79, 2013 (Released:2014-04-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1

資料の少ない古代~中世の緑化文化を検討するため,主な和歌集に詠まれている植物および植物に対する行為を分析した。その結果,万葉集および第1~8集の勅撰和歌集の中で植物は計4,171首,植物に対する行為は計1,449首詠まれていた。時代区分毎にそれぞれ割合を求めたところ,奈良時代から平安時代にかけて,詠まれた植物の嗜好がハギからサクラに転換していた。緑化に関わる行為としては,植栽として「植える」「蒔く」「刺す (挿し木) 」,植生管理として「刈る」「伐る」「抜く」「焚く・焼く」「切る」が認められた。また,奈良時代には植物との多様な関わりが存在していたが,それ以降の時代では植栽という行為に対して意識が薄れていったことが示された。
著者
日鷹 一雅 嶺田 拓也 大澤 啓志
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.20-25, 2008-06-30 (Released:2009-06-30)
参考文献数
38
被引用文献数
5 4

A consideration was progressed for historical establishment of agrobiodiversity in a rice field of rural area, integrating factors in biogeography, rural history and engineering, farming systems and agricultural management practices. Actually situation of conservation or restoration planning of agrobiodiversity have conducted from an only view point of agricultural management practice, especially ignoring biogeographical ones as the first historical step. For systematic planning of nature restoration in a rice field of a particular rural area, it is necessary to understand deeply integrated analysis of agrobiodiversity basing on biographical, historical and agronomical academic disciplines.
著者
藤田 知則 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.739-742, 2001-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

水田を有する都市公園は, 農的景観や自然に触れる機会の少ない都市住民にとって貴重な空間となっている。このような二次的な自然は人為管理が不可欠であり, その担い手の確保が今日的な課題である。本研究は, 水田を有する都市公園の実態を把握するとともにその維持管理の体制について考察検討を行った。東京都および隣接3県において, 水田を有する公園は計29箇所抽出された。公園内の水田の維持管理作業においては, ほとんどの公園で市民参加方式を導入しており, 参加形態としては季節ごとのイベント的な管理作業から通年管理作業まで見られた。維持管理体制には, 行政主体から市民主体まで幾つかの種類が見られ, それぞれの特徴について考察した。
著者
七海 絵里香 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.443-446, 2013

The leaves of Oshima cherry (<i>Prunus</i> Wilson var. <i>speciosa</i> Makino) are edible and used to wrap sakuramochi. Seventy percent of leaves of the Oshima cherry are produced in Matsuzaki town, Izu Peninsula. In this town, cherry trees are cultivated for harvesting their leaves. These trees are closely planted and pruned, enabling them to grow many tillers, which spread out and form the distinctive landscape in this area. In this study, we investigated the actual distribution, forming process of leaves in cherry tree fields, and change in the production process in Matsuzaki town. From the results, we assumed that the number of cherry trees planted corresponded to the amount of charcoal produced. However, the field cultivation method of cherry trees was devised only by the end of the 1960s, after the production of charcoal decreased due to an energy revolution, which resulted in a crisis in the cherry tree leaf production. It was considered that cherry tree fields were distributed throughout Matsuzaki town. However, our results show that these fields are unevenly distributed.
著者
大澤 啓志 黒田 貴綱 勝野 武彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.565-570, 2006-03-27
参考文献数
23
被引用文献数
6 5

The changes in vegetation and small animal fauna were investigated in terraced paddy with stone masonry in the hilly and mountainous areas of northeast Kyushu where cultivation has been progressively abandoned. Grassland which includes Imperata cylindrical - Miscanthus sinensis community and Juncus effusu community was formed depending on the soil moisture in the extensively managed sites. With the progression of vegetation succession in the abandoned managed sites, the M. sinensis community has attained dominant status. Although frog species diversity increased in the mountainside terraced paddy, the abandonment of paddy field cultivation led to a decline of frog composition. Rana ornativentris and Rhacophorus schlegelii had continually inhabited the moorland vegetation since the open water bodies required for breeding in frogs were disturbance-created by the rooting behaviour of mammals. With regard to the mouse fauna, Apodemus speciosus had colonized the extensively managed sites, and A. argenteus was found in the abandoned sites characterized by dense coverage of tall plants such as M. sinensis. Though the Micromys minutus population had increased in the extensively managed sites subject to continued mowing, they were absent from sites that had been abandoned for approximately 15 years. It was clarified that the vegetation succession is dependent on both land-form and management practice, and that vegetation and soil moisture are important factors in determining small animal fauna.
著者
七海 絵里香 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.405-408, 2011 (Released:2012-09-05)
参考文献数
42
被引用文献数
1

It can be said graft is important technique from a viewpoint of landscape from some their feature. However, their techniques have developed in pomological field. In this study, we examined about the historical transition of graft use through literature. In addition, we considered about position of graft at the industry of tree production in recent years and transmitting of graft techniques through a listening to people who have graft techniques and nursery stock producers. As a result, graft has already been done for ornamental trees at Heian era. It was thought that graft techniques were actively used in the background of the gardening cultural prosperity at Azuchi-Momoyama and Edo era. Afterwards, object of graft shifted to the fruit tree since Meiji era. About the transmitting of graft techniques, there were a lot of cases with transmission to the relative. There is a tendency to transmit movements of graft only when it is not relative. Intention of graft is the overall techniques include that caring and environmental making at the before and after graft. Depression of plant industry, difficulty that compete in plant industry and weakening of the consciousness that taking over the family business caused a decreases in the number of workman of the next generation.
著者
大澤 啓志 勝野 武彦 片野 準也
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.188-197, 2001-02-28
被引用文献数
14 11

本研究では, 神奈川県東部の都市河川(柏尾川)で旺盛に繁茂しているレッドリスト掲載種ミズキンバイ(アカバナ科)について, その生態的特徴を明らかにした。月別の現存量の変化より, 本種の生活環として5〜8月の直立型の成長期, 9〜10月の匍匐茎による横方向への増殖期, 11〜1月の衰退期が明らかになった。開花は5〜12月に見られたが, 特に初夏に最も多くの着花数が認められた。分布は中流部の約6kmの範囲であり, 1998年の総生育量(植被面積)は約1,500m^2であった。確認された44地点の群落のうち25地点では, 中洲のほとんどを占有していた。水面上に広く葉を拡げる群落景観は, 水面から緩やかにつながる淡緑色の中洲・寄洲を形成し, 柏尾川の河川景観を特徴付けている。群落内の種構成を比較した結果, 群落遷移から考えてメリケンガヤツリ・ミゾソバの出現頻度の多少により遷移の初期型・後期型に区分された。さらに, 草丈の高い植物の侵入により本種の群落は減少すると思われる。
著者
日鷹 一雅 嶺田 拓也 渡邊 修 本林 隆 東 淳樹 大澤 啓志
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

まずはカメ類、両生類、畔畔の高等植物、昆虫等について現状の生息状況を在地の多様な研究者と検討した。その結果から、トノサマガエル、イシガメ、チガヤ、ススキ、ヒメゲンゴロウなどの水生昆虫などの水田普通種が地域的に減少傾向であった。これらの普通種減少について、激減仮説(新農薬・侵入生物・栽培環境・圃場整備など)のそれぞれが減少要因に関与していた。減少傾向の種のうち、とくに減少傾向の顕著な種群に悪影響を及ぼす要因について影響評価実験を行った。メソコズムとマイクロコズムを考案し、半致死濃度を求め、ある殺虫剤の悪影響をつきとめた。昆虫種の中には地域個体群の激減に一部の普及農薬の化学成分が影響していた。減少種とその要因の関係性は多様であり、在地の研究者の役割は大きい。
著者
板川 暢 片桐 由希子 一ノ瀬 友博 大澤 啓志 石川 幹子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.431-436, 2010 (Released:2011-07-22)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

A study was conducted on Orthoptera (Acrididae, Tettigoniidae, Gryllidae) in 56 sites of reclaimed land of Kanazawa District, Yokohama City, Kanagawa Prefecture through May to October of 2008. 28 species and 1941 individuals were recorded during this study. By using TWINSPAN and partitioning, classifications of the Orthoptera and study sites were made based on the results of this study. Also we investigated concerning vegetation, soil, distance from original land,and area coverd with vagetation around field as environmental factors. The study sites were sorted into 5 groups and the Orthoptera were sorted into 4 groups by using TWINSPAN. Based on 5 study site groups, partitioning analysis was conducted.Results suggest vegetation height, coverings of evergreens and deciduous trees of middle to high height, and distance from original land are related to Orthoptera inhabitation. However, it has not been clearly understood the distance from original land was selected as explanatory variable. A further verification is necessary because of the possibility that area coverd with vegetation around the field is related was suggested.
著者
大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.495-500, 2000-03-30
被引用文献数
8 2

都市域におけるカエル類の保全を検討するため,多摩丘陵南部においてシュレーゲルアオガエルの鳴き声による個体数把握を行い,各生息地の環境条件との関係を調べた。生息地点は全域で77地点であり,そのうち30個体以上の計数個体数が得られたのは10地点のみであった。水田タイプ毎の個体数密度は過湿田>湿田>乾田の順であり,都市緑地における過湿田・湿田の重要性が示された。また,分散能を考慮した地域個体群としての評価を加えることにより,多くの地点が不安定な状態の個体群であることが示された。得られた結果を基に,本種の生息に必要な整備・管理指針および丘陵全体でのメタ個体群の保全について考察を加えた。