著者
今給黎 尚幸 巻幡 聰 米田 敏 山下 眞一 白石 武史 岩﨑 昭憲
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.20-24, 2015-01-15 (Released:2015-01-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

後縦隔神経節細胞腫の2手術例を報告する.症例1:40歳女性.心窩部痛を主訴にCTで左後縦隔の傍椎体領域に11 cm大の腫瘤を認め,胸腔鏡下に腫瘍を摘出した.症例2:16歳女性.学校検診のレントゲンで異常陰影を指摘,CT, MRIで右傍椎体領域に17 cm大の腫瘤を認め右後側方切開で腫瘍摘出を行なった.病理ではともに神経節細胞腫の診断であった.稀な疾患だが発生部位や特徴的な画像所見から術前より同疾患を疑うことは比較的容易であり,後縦隔に発生する神経原性腫瘍の鑑別疾患として念頭におくべき疾患と思われた.
著者
蒔本 好史 大渕 俊朗 岩﨑 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.126-129, 2020-03-15 (Released:2020-03-15)
参考文献数
6

我々は急性高炭酸血症により吃逆が停止する際の具体的生理条件を発見し報告した.その条件を短時間で誘導する装置を開発.難治性吃逆症例で奏功したので報告する.症例は難治性吃逆の40代女性.2年前,腹部膨満を主訴に近医を受診.吃逆による呑気症と診断された.柿蔕湯やメトクロプラミドを処方されたが改善しなかった.吃逆が原因で1年前から引きこもりとなり,向精神薬や消泡薬を内服中.各種内服薬以外に様々な民間療法(飲水,息止め,両耳に指を強く押し込むなど)も試したがいずれも奏功しなかった.当科に直接依頼があり,同意を得た後,90%酸素と10%炭酸ガスから成る混合ガスの吸入を行ったところ,吃逆は5分余で停止した.吃逆は血中炭酸ガス分圧の急速な上昇により停止することが確認された.
著者
大渕 俊朗 濱田 利徳 岩﨑 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.127-130, 2013-03-15 (Released:2013-04-01)
参考文献数
11

自然気胸の発生と天候の関係について検討した.2011年4月から2012年5月までに,当院に受診した初発自然気胸患者37名(男性34名,女性3名,平均年齢34.5歳)の自然気胸発生日時を調査した.気象庁が公表している気象データを基に,気胸発生日とその他の日における,日照時間,気温について統計学的に検討した.気胸発生日では日照時間が有意に短く(3.68対5.29時間,p=0.0090),また平均気温(0.84対-0.015℃,p=0.025)と最低気温(1.20対-0.03℃,p=0.038)が2日前と比較して有意に上昇していた.日照時間の短さは「天気が曇りか雨」だったことを反映しており,自然気胸が有意に‘良くない天気’の日に発生したと考えられる.しかし日照時間短縮などで代表される気象現象が我々の健康にどのような影響を与えているのかは不明であり,今後も研究が必要である.
著者
永田 旭 平塚 昌文 吉田 康浩 柳澤 純 濱武 大輔 蒔本 好史 白石 武史 岩﨑 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.136-140, 2013-03-15 (Released:2013-04-01)
参考文献数
9

食物誤嚥は気道異物の原因の中でも高い割合を占める.他の気道異物と比較して,①X線検査での確定診断が困難,②構造が脆弱で細片化しやすく,摘出が困難,といった点に特徴がある.気道内食物異物の診断・治療について我々の症例をまとめ考察した.2000年1月~2011年10月までに経験した気道異物9例のうち,食物異物6例.内訳は小児4例,成人2例で,原因となる食物は豆類が5例,肉片が1例であった.あらかじめ標準化された手順のもと,全例が全身麻酔下に異物摘出処置を受けた.3例が軟性気管支鏡下,3例が硬性気管支鏡下で施行され,摘出処置に起因する重篤な合併症の発生はみられなかった.気道インターベンションは複雑で多様性に富み,かつ危険を伴う外科処置であるが,他科の協力を含む手順の標準化(プロトコール化)により安全な施行が可能となると考えられた.