著者
大渕 俊朗 濱田 利徳 岩﨑 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.127-130, 2013-03-15 (Released:2013-04-01)
参考文献数
11

自然気胸の発生と天候の関係について検討した.2011年4月から2012年5月までに,当院に受診した初発自然気胸患者37名(男性34名,女性3名,平均年齢34.5歳)の自然気胸発生日時を調査した.気象庁が公表している気象データを基に,気胸発生日とその他の日における,日照時間,気温について統計学的に検討した.気胸発生日では日照時間が有意に短く(3.68対5.29時間,p=0.0090),また平均気温(0.84対-0.015℃,p=0.025)と最低気温(1.20対-0.03℃,p=0.038)が2日前と比較して有意に上昇していた.日照時間の短さは「天気が曇りか雨」だったことを反映しており,自然気胸が有意に‘良くない天気’の日に発生したと考えられる.しかし日照時間短縮などで代表される気象現象が我々の健康にどのような影響を与えているのかは不明であり,今後も研究が必要である.
著者
渡辺 健寛 濱田 利徳 岡田 英 広野 達彦
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.705-708, 2004-10-20
被引用文献数
4

背景.自然気胸を契機に発見された若年女性の肺癌症例を経験したので報告する.症例.22歳女性.2000年10月右自然気胸に対して胸腔鏡下ブラ切除を施行された.同年11月再発し,当院に紹介された.右自然気胸は胸腔ドレナージで改善したが,胸部CTで左肺尖部のすりガラス様陰影を指摘され,外来で定期的に胸部CTで経過観察していた.2002年11月胸部CTですりガラス様陰影の増大を認めた.肺癌の可能性が高いと考え,同年12月4日手術を施行した.左上葉部分切除し術中迅速病理診断で野口分類type Cの腺癌疑いの診断となり,引き続いて胸腔鏡補助下左S^<1+2>+S^3拡大区域切除および縦隔リンパ節郭清を行った.術後病理診断は野口分類type Cの腺癌で,リンパ節転移を認めず, pT1N0M0,stage IAと診断した.結論.自然気胸の治療中に偶然発見された若年女性の肺癌症例を経験した.気胸などの良性疾患の際にも胸部CTで肺野の他病変に対する注意深い観察が必要と考えられた.また,胸部CT上発見されるすりガラス様陰影に対しては,定期的な経過観察で増大する場合には,肺癌を念頭においた対処が望ましい.