著者
平塚 昌文 岩崎 昭憲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.1624-1630, 2012 (Released:2013-06-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

内科的治療が限界に達した肺気腫に対する外科治療として,Lung Volume Reduction Surgery(LVRS)と肺移植が挙げられる.LVRSは米国での多施設共同試験NETT studyを中心とした報告から,ある程度呼吸機能が温存された上葉優位型の肺気腫がよい適応と考えられている.しかしLVRS後の機能改善は一時的であり,最重症例では術後死亡率も高くなり慎重な適応決定が必要となる.一方,COPDに対する肺移植は1980年代,Cooperらによって導入された.呼吸機能的にはLVRS対象のCOPDより重症例が適応となる.生存延長に関する寄与は少ないもののQOL向上には大きな効力を発揮し,欧米では多くのCOPD症例の肺移植が実施されている.我国では実施は10例程度に止まっているが,臓器移植法改正に伴う脳死ドナー増加で今後は症例数が増加する事が予測される.
著者
永田 旭 平塚 昌文 吉田 康浩 柳澤 純 濱武 大輔 蒔本 好史 白石 武史 岩﨑 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.136-140, 2013-03-15 (Released:2013-04-01)
参考文献数
9

食物誤嚥は気道異物の原因の中でも高い割合を占める.他の気道異物と比較して,①X線検査での確定診断が困難,②構造が脆弱で細片化しやすく,摘出が困難,といった点に特徴がある.気道内食物異物の診断・治療について我々の症例をまとめ考察した.2000年1月~2011年10月までに経験した気道異物9例のうち,食物異物6例.内訳は小児4例,成人2例で,原因となる食物は豆類が5例,肉片が1例であった.あらかじめ標準化された手順のもと,全例が全身麻酔下に異物摘出処置を受けた.3例が軟性気管支鏡下,3例が硬性気管支鏡下で施行され,摘出処置に起因する重篤な合併症の発生はみられなかった.気道インターベンションは複雑で多様性に富み,かつ危険を伴う外科処置であるが,他科の協力を含む手順の標準化(プロトコール化)により安全な施行が可能となると考えられた.