著者
上松 英介 大村 詠一 岸木 敬太
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.89-94, 2010 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

学習指導要領の改訂により,先端科学技術への認識を深めることがこれまでに比べ重視されるようになった。そこで先端科学である超伝導現象におけるゼロ抵抗の観測を学校の理科室程度の環境でもできるような実験方法の開発に取り組んだ。実験にはこれまでよく使用されてきたセラミックのイットリウム系超伝導体ではなく,線材化されたビスマス系超伝導体を用いた。また簡易な温度調節器を作成することで超伝導体の温度調節を容易にした。これらによって,障害となっていた超伝導体の強度の弱さと実験操作の難しさを解消することに成功した。その結果,定性的ではあるが,ゼロ抵抗や超伝導状態から金属の性質を示す状態への転移の様子をはっきりと観測することができた。 加えて,線材化されたビスマス系超伝導体をリング状にすることでマイスナー効果を観測できることも確認し,セラミックのイットリウム系円形超伝導体を用いるよりも単価を安くして観測できることがわかった。