- 著者
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岸本 一郎
井垣 誠
小松 素明
隈部 綾子
恒成 徹
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.6, pp.347-354, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
- 参考文献数
- 16
目的:糖尿病性腎臓病の重症化予防のため地域における課題を抽出し特に介入すべき対象集団を検討する.方法:4年間の豊岡市国民健康保険特定健診データ(初年度n=5,169)に基づいて後方視的縦断コホート研究を行った.血清クレアチニン値の1.2倍化をエンドポイントとして生存時間分析を行い,腎機能低下と関連する因子を解析した.結果:腎機能低下のリスク因子として糖尿病と高血圧が有意に関連しており,それぞれの疾患がある場合は約2倍リスクが上昇した.糖尿病患者のみの解析では,HbA1c(高値)とHDLコレステロール(低値)が腎症増悪と関連していた.特に,治療を受けていないHbA1c 8 %以上の群で腎機能低下の進行を認めた.また,尿蛋白(-)の糖尿病患者を対象とした検討では,低HDLコレステロール血症群が高リスクであった.結論:地域における糖尿病性腎臓病進行の高危険群が明らかとなった.