著者
岸本 文紅 米村 正一郎 内田 雅己
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

土壌有機物分解の温暖化に対するフィードバックとその制御メカニズムの解明は、農耕地土壌の炭素隔離の気候変動に対する将来予測を行う上で緊急な課題である。本研究は、土壌を温める野外操作実験による土壌有機物の分解に及ぼす温度上昇の効果を定量的評価し、その制御メカニズムの解明を目的とした。その結果、圃場スケールでの実験的加温(深さ5cmで+2℃)により、土壌有機物分解によるCO_2発生は冬春のコムギ作で2~13%促進され、夏秋のダイズ作では10~18%低下した(新しい知見)。夏の高温乾燥条件下では土壌水分ストレスによるCO_2発生の低下が加温区でより大きかったためと考えられ、土壌有機物分解に及ぼす温暖化の影響予測には土壌水分との複合作用を考慮することが重要であることが示された。