著者
島岡 恵 干川 隆 本吉 大介
出版者
日本リハビリテイション心理学会
雑誌
リハビリテイション心理学研究 (ISSN:03895599)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.17-28, 2021-12-08 (Released:2022-01-17)
参考文献数
25

本研究の目的は,脳性まひのある生徒の身体の動きに及ぼす動作法とミラーセラピーの効果を検討することであった。23回にわたって実施された試行は,指導の内容からA期(動作法のみ),B期(動作法及び下肢のMT),C期(動作法及び上下肢のMT)に分けられた。指導の結果,対象児はB期から右足の背屈運動の改善があり,手指操作能力分類システム(MACS)による評価では,BL期に比べてC期に14.5点の改善が見られた。本研究の結果から,対象児が鏡を見ながら自己の運動に修正を加えていくことで指先の動きや足首の背屈運動が改善されたことから,ミラーニューロンシステムの活性化が行われたと考察した。結果は,脳性まひ者に対して動作法とミラーセラピーを用いることで,その両方の取り組みの相乗効果が期待されることを示唆した。