著者
井上 裕嗣 米本 仁巳 島川 泰英 松田 昇 恩田 聡
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.265-269, 2004-12-01

沖縄県におけるアテモヤ'ジェフナー'の立ち枯れの発生要因を調査するため,栽培園の台木と土壌条件を調査した.さらに,冬季出荷を目的に台木が樹の生育および夏季切り返し剪定による着花量に及ばす影響を調査した.その結果,立ち枯れはポンドアップル台木で発生が多く,バンレイシ台でも土壌排水性の不良な園で見られた.台木としてチェリモヤ,アテモヤ,バンレイシを用いて生育させたところ,台木幹周はチェリモヤ,アテモヤ,バンレイシ台木の順で,穂木幹周はアテモヤ,チェリモヤ,バンレイシ台木の順で大きくなった.チェリモヤ台木では台勝ち現象が見られた.樹冠面積と個葉の面積における台木間の違いは台木幹周で見られた台木間の違いと同様な傾向で,バンレイシ台木で有意に小さかった.着花数は,7月および8月剪定ではバンレイシ台木で有意に多く,総着花数も同様の結果であった.以上の結果から,チェリモヤとアテモヤ台木は樹勢が良好で,経済栽培に十分な着花数が得られ,これらは沖縄でのアテモヤ栽培用台木として適しているものと思われた.バンレイシ台木はわい化に有効であるが,排水不良な沖縄の国頭マージ土壌では立ち枯れが発生した.