著者
島野 正直
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.2-7, 2016-02-01 (Released:2018-07-02)
参考文献数
5

科研製薬株式会社は、財団法人理化学研究所(理研)をルーツにもつ製薬企業である。規模的には、いわゆる中堅であり、どちらかというと地味な企業であるが、ユニークな品揃えで社会に貢献し、堅実に成長している。医薬品業界は医療費抑制政策の大波に揉まれ始めており、予断を許さない状況であるが、今までに築いてきた基盤を大切にしながら新しいことに挑戦し、患者さんのアンメットメディカルニーズに応えられるように研究開発体制の強化を図っている。また、開発速度と開発頻度を上げるために、外部との共同研究、共同開発にも積極的に取り組んでいる。製薬産業は知識集約型産業と言われて久しいが、基本となるのは人である。計画や施策の実効性は、個々の研究員の能力と発想、そして達成意欲に掛かっている。一方で、医薬品の開発には長い年月が掛かるが、成功確度は高くない。規模的に多くのことはできない中で、何を行うかも問われている。