著者
崔 鍾植
出版者
大阪商業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

(1)最近の少年非行の動向としては、まず日韓ともに低年齢化の傾向が顕著である。少年比と殺人罪については韓国より日本のほうが高いが、反面、強盗罪と強姦罪、10万人あたりの少年犯罪者の割合は、韓国が日本より高く現れている。(2)少年司法においては、少年の健全育成という側面から見れば、全般的にいまだ足りないところが少なくない点から、日韓ともに「少年保護の理念」という初心に帰って処遇の多様化と充実化のためのさらなる工夫が必要であると判断される。特に、日韓ともに刑事裁判において少年に対する配慮が足りないところが多い点から抜本的な改善方策が急を要する。(3)日韓少年司法において望ましい市民参加による裁判制度については、少年審判と刑事裁判ともに参審制形態の市民参加による非公開の裁判制度の導入を検討すべきであるという結論に至った。