著者
嶋田 直哉
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.64-73, 2011

<p>岡田利規『三月の5日間』(初演 二〇〇四・二)はイラク戦争を背景としながら渋谷のラブホテルの一室を舞台に展開する戯曲である。が、物語は単線的に進まずイラクでの戦争と渋谷のラブホテルの一室と「セカイ系」の宇宙が強引なまでに並置され、それらが収拾しがたく拡散している。また身体と言葉は対等の関係を持ち、それぞれが個別に過剰さを増すため、身体は無化されてしまう。このような構図から導かれる「ユルさ」こそ岡田の戦略であり、また迂回しながら社会と関わろうとするアクチュアルな姿勢を認めることができる。</p>
著者
嶋田 直哉
出版者
日本演劇学会
雑誌
演劇学論集 日本演劇学会紀要 (ISSN:13482815)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.57-72, 2007 (Released:2018-01-12)

A play Red Demon written by Hideki Noda has been produced in four versions since its first performance in June, 1996.; in Japanese, Thai, English, and Korean. It seems this play has been effective for more than ten years. This paper examines the reason. This play keeps an exquisite “sense of distance with reality” to politics after 9.11. And the play expressed a kind of “de-borderline-ness”, showing us memory and history.