著者
河野 達仁 嶌 万希音 祢津 知広 水谷 大二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00030, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
32

各自治体には財政制約があり,社会基盤維持補修費が高くなると,他の支出を圧迫する影響や追加的財政収入により生じる死荷重といった公的資金の限界費用(MCF)を考慮する必要がある.本研究では,内生的に変化するMCFを考慮して橋梁の補修施策の動学的最適化を行う.数値分析の結果,1)MCFが低い状況では予防保全の割合が高く,MCFが大きいと事後保全のみの施策が最適となる.2)時間割引率が高いと事後保全のみが最適であり,時間割引率が低いとMCFが低いと予防保全と事後保全の組合せが最適である.3)劣化した橋梁が多い場合,早期補修を行う必要があり,将来世代の効用が現世代よりも高くなる.4)ライフサイクルコスト最小化施策はMCF>1の状況の施策と異なり厚生損失を生むことを示す.