著者
山口 俊昌 裏川 公章 中本 光春 出謝 秀樹 田中 宏明 磯 篤典 西尾 幸男 植松 清 瀬藤 晃一 川北 直人 嶋田 安秀
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.2882-2885, 1989-12-01
被引用文献数
21

1987年までの13年間に4例の大腸癌の卵巣転移を経験した. 症例1 : 65歳. 閉経後, S 状結腸癌手術時に, 左卵巣腫瘤を合併切除した. 術後10か月後に肺転移で死亡した. 症例2 : 56歳, 閉経後. 下行結腸癌術後6か月目に両側卵巣を切除し, 右卵巣に転移を認めた. 症例3 : 53歳, 閉経前. 直腸癌 (Rs) 術後1年目卵巣腫瘤を切除, 9か月後も健在である. 症例4 : 56歳, 閉経後. 直腸癌 (Rs) の治癒切除後1年4か月後に左卵巣腫瘤を切除した. 1年8か月後に死亡した. 大腸癌卵巣転移の頻度は3.5%であった. 原発大腸癌の占居部位は下行結腸1例, S 状結腸1例, 直腸 (Rs) 2例と, 下部大腸に多く, 全例リンパ管侵襲は陽性で, リンパ行性転移が疑われた. 卵巣転移までの期間は同時から1年4か月後であった. 予後は不良で9か月生存中が1例あるが, 3例は1年8か月後までに死亡した.