著者
野村 秀明 小峰 春香 澁谷 雪子 瀬藤 晃一 宇佐美 真
出版者
神戸常盤大学
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.9, pp.93-101, 2016

近年の社会の高齢化に伴い、寝たきり患者数は200万人を超え、その10%以上に褥瘡の発生を見る。褥瘡の発生・増悪は直達力の他に、二次的なリスク因子が存在し、加齢に加え、栄養障害が強く相関している。この論文は、高齢者褥瘡患者についての臨床症例を通して、栄養と褥瘡治療の関連性について検討することである。今回、18名の高齢者褥瘡患者を対象に、栄養評価による栄養障害の程度、栄養管理法、および栄養療法を施行した後の褥瘡の治療反応性について検討した。その結果、対象患者は全例中等度〜高度の栄養障害を有し、その半数以上に高度の褥瘡を認めた。チーム医療による栄養管理を行った結果、18例中12例に治療効果を認め、この治療反応性は、経口摂取群、経腸栄養投与群に多く見られた。以上より、褥瘡患者では栄養障害が存在するため、局所の創管理に加えて、チーム医療による全身的な栄養管理をより生理的な栄養投与ルートを介して行うことが必要であると考えられた。
著者
山口 俊昌 裏川 公章 中本 光春 出謝 秀樹 田中 宏明 磯 篤典 西尾 幸男 植松 清 瀬藤 晃一 川北 直人 嶋田 安秀
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.2882-2885, 1989-12-01
被引用文献数
21

1987年までの13年間に4例の大腸癌の卵巣転移を経験した. 症例1 : 65歳. 閉経後, S 状結腸癌手術時に, 左卵巣腫瘤を合併切除した. 術後10か月後に肺転移で死亡した. 症例2 : 56歳, 閉経後. 下行結腸癌術後6か月目に両側卵巣を切除し, 右卵巣に転移を認めた. 症例3 : 53歳, 閉経前. 直腸癌 (Rs) 術後1年目卵巣腫瘤を切除, 9か月後も健在である. 症例4 : 56歳, 閉経後. 直腸癌 (Rs) の治癒切除後1年4か月後に左卵巣腫瘤を切除した. 1年8か月後に死亡した. 大腸癌卵巣転移の頻度は3.5%であった. 原発大腸癌の占居部位は下行結腸1例, S 状結腸1例, 直腸 (Rs) 2例と, 下部大腸に多く, 全例リンパ管侵襲は陽性で, リンパ行性転移が疑われた. 卵巣転移までの期間は同時から1年4か月後であった. 予後は不良で9か月生存中が1例あるが, 3例は1年8か月後までに死亡した.