著者
川口 耕平 中原 信一 崎村 幸一郎 衛藤 正雄
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.417-421, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
7

比較的稀な小児歯突起骨折症例の1例を経験したので報告する.症例は10歳男児.主訴:頚部痛.既往歴:脳性麻痺(低緊張型).現病歴:平成21年4月20日自動車の後部座席乗車中に後方から自動車に追突され受傷した.翌日当科受診した.著名な頚部痛を認めたが,身体所見では脳性麻痺による四肢不全麻痺あるものの新たに招じた麻痺はなかった.CTにて後方転位した軸椎歯突起骨折Anderson分類type 2を認め,8週間フィラデルフィア装具にて保存治療行い,骨癒合が得られ良好な経過となった.一般に幼小児の脊椎は柔軟で弾力性に富み,生理的可動域も大きいため脊椎損傷は稀とされおり,小児歯突起骨折は報告例が少ない.受傷した場合も患者の協力が得がたく臨床所見の把握が困難であることが多いが,損傷を見落とすと成人同様に偽関節を形成し,環軸関節が不安定となる危険性があるため注意が必要であると考えられた.
著者
杉山 健太郎 古市 格 渡邉 航之助 川口 耕平 秋山 隆行 井上 拓馬 小河 賢司
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.640-643, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
5

完全隔壁型の膝蓋上滑膜ひだ障害の1例を経験したので報告する.〈症例〉68歳女性.半年前から右膝痛を自覚,その後症状改善ないため当科受診した.当科初診時,右膝蓋上部に径約3 cm大の圧痛を伴う腫瘤を触知した.MRI上,膝蓋上嚢に隔壁を有する嚢胞性病変を認め,内部は炎症性変化が疑われた.関節鏡視下に隔壁を確認し,同部と膝関節腔内とを交通させるよう隔壁および滑膜切除を行い,術後は右膝痛改善を認めた.〈考察〉膝蓋上滑膜ひだ障害の画像的特徴として,MRIで膝蓋上嚢部にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号の関節液貯留を認め,内部に低信号の隔壁を有するとの報告がある.治療は関節鏡下での隔壁切除で症状軽快すると報告されている.本症例でも同様の画像所見を認め,関節鏡視下での隔壁および滑膜切除術が症状改善に有効であった.