著者
久芳 昭一 古市 格 村田 雅和 宮田 倫明 穂積 晃 前田 和政 松村 陽介
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.368-371, 2010-03-25 (Released:2010-05-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

胸腰椎圧迫骨折の臨床経過と予後予測について検討を行った.過去2年間で受傷早期に来院し入院治療を行った43例50椎体(男性15例,女性28例)を対象とした.3カ月以上の疼痛持続の有無とX線学的に椎体圧潰率,局所後弯を受傷時と最終観察時に計測し,受傷時MRI(T1強調像),年齢,性別,受傷時椎体圧潰率,受傷時後弯度,損傷部位,受傷機転との関連を検討した.疼痛持続,椎体圧潰進行はMRI像の後壁損傷と男性症例に関連を認めた.後弯進行はMRI像の後壁損傷に関連を認めた.胸腰椎移行部の損傷は有意に椎体圧潰が進行していた.
著者
依田 周 古市 格 村田 雅和 宮田 倫明 森口 昇 塚本 正紹 江頭 秀一 浅見 昭彦 仙波 英之 野口 康男 原 真一郎 前 隆男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.613-618, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

【背景】骨癒合評価時期について臨床現場や論文で医師間の認識に相違を感じることがあり,骨癒合と判定するタイミングを調査することとした.【方法】1.長崎大学,関連病院および佐賀骨折治療研究会所属医師103名を対象に,大腿骨骨幹部骨折に対して髄内釘を試行したレントゲンを経時的に提示.仮骨出現時期,仮骨架橋構造形成期,骨癒合時期,抜釘可能時期および整形外科経験年数についてメールアンケートを実施した.2.アンケートに用いたレントゲンを画像ソフトで処理し仮骨部の濃度,面積を評価.【結果】1.回答43名,経験年数は平均13.6年.いずれの時期においても医師間による相違が見られ,経験年数による差は見られなかった.2.仮骨部の濃度,面積は仮骨増生が強い時期に最大となり徐々に低下を認めた.【考察】レントゲンによる骨癒合評価は主観的要素や撮影条件により左右され,また整形外科医と放射線科医でも差を生じるとの報告もあり今回の調査でその傾向が認められた.
著者
杉山 健太郎 古市 格 渡邉 航之助 川口 耕平 秋山 隆行 井上 拓馬 小河 賢司
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.640-643, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
5

完全隔壁型の膝蓋上滑膜ひだ障害の1例を経験したので報告する.〈症例〉68歳女性.半年前から右膝痛を自覚,その後症状改善ないため当科受診した.当科初診時,右膝蓋上部に径約3 cm大の圧痛を伴う腫瘤を触知した.MRI上,膝蓋上嚢に隔壁を有する嚢胞性病変を認め,内部は炎症性変化が疑われた.関節鏡視下に隔壁を確認し,同部と膝関節腔内とを交通させるよう隔壁および滑膜切除を行い,術後は右膝痛改善を認めた.〈考察〉膝蓋上滑膜ひだ障害の画像的特徴として,MRIで膝蓋上嚢部にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号の関節液貯留を認め,内部に低信号の隔壁を有するとの報告がある.治療は関節鏡下での隔壁切除で症状軽快すると報告されている.本症例でも同様の画像所見を認め,関節鏡視下での隔壁および滑膜切除術が症状改善に有効であった.
著者
桑野 洋輔 古市 格 井上 拓馬 小河 賢司 秋山 隆行 渡邉 航之助 荒木 貴士
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.572-576, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
12
被引用文献数
2

【はじめに】頚椎外傷後に咽頭後間隙血腫を生じ,保存的治療で軽快した5例を経験したので報告する.【症例】年齢は47~89歳(平均63.8歳).男性4例,女性1例.交通外傷によるものが3例,転落外傷によるものが2例であった.全例に頚椎骨折を認め,1例は頚髄損傷を合併していた.抗血小板薬を常用しているものが1例あった.咽頭後間隙の最大値は11~37mmであった.2例に気管挿管を必要とし,1例は受傷後3時間で気道閉塞症状が出現したため行い,1例は予防的に行った.抜管までには12~14日間を要した.3例は気管挿管を施行せずに自然軽快した.【考察】咽頭後間隙血腫は遅発性に気道閉塞を引き起こし致命的となることもあるため,その可能性を念頭に置いた治療が必要である.
著者
前田 和政 古市 格 村田 雅和 宮田 倫明 穂積 晃 久芳 昭一 松村 陽介
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.869-871, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1 1

Crowned dens syndrome(CDS)は急性に発症する重度の頚部痛と頚椎可動域制限を呈し,CT上歯突起周囲の石灰化が認められる症候群である.その病因は,歯突起周囲の結晶沈着といわれている.高齢女性に多いといわれているが,比較的若年者にも発症していた.CDSの2症例を経験したので,報告する.症例1.68歳女性.特に誘因なく,頚部の違和感が出現.後頭部部痛と頚部硬直が出現するも自宅で安静にしていた.数日後近医受診し,くも膜下出血疑いで当院脳神経外科に紹介されるも診断がつかず,当科紹介.CTで歯突起周囲の石灰化を認め,CDSと診断した.症例2.38歳女性.2,3日前からの頚部違和感あり.後頭部痛と頚椎可動域制限出現し当科受診.CT上歯突起周囲に石灰化を認め,CDSと診断した.両症例に対して内服治療を行い,1週間以内に疼痛は軽快した.