著者
カイセド リカルド エンリケ 川島 光夫 上吉 道治
出版者
日本万国家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.36-44, 1997-01-25
参考文献数
28
被引用文献数
2 4

卵巣中の大きさが最大の卵胞,2番目の卵胞と3番目-5番目の卵胞から,それぞれ顆粒層細胞,卵胞膜内層細胞および卵胞膜外層細胞を単離し,それらを0.1-100ng/mlのヒツジLHまたはFSHともに,37&deg;Cで4時間培養した。培養後,培養液中のプロジェステロン(P<sub>4</sub>),テストステロン(T)とエストラジオール17&beta;(E<sub>2</sub>)をラジオイムノアッセイにより測定した。<br>P4とTは共に内層細胞の培養液では認められたが,外層細胞では認められなかった。一方,E2は外層細胞では検出されたが,内層細胞では検出されなかった。内層細胞のP<sub>4</sub>とTの生産はLHとFSHにより増加したが,それらの性腺刺激ホルモンによる効果は大きい卵胞に比べ小さい卵胞の方が高く,また,増加の割合はLHの場合の方がFSHの場合に比べて多かった。一方,外層細胞におけるE<sub>2</sub>生産はFSHにより刺激され,しかもその程度は小さい卵胞の方が大きい卵胞に比べて大きかった。しかし,LHによっては検討した用量内では影響は認められなかった。これらの結果は,卵胞膜細胞におけるステロイドホルモン生産における性腺刺激ホルモンによる刺激効果は小さい卵胞の方が大きい卵胞に比べて高いことを示している。