- 著者
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川島 章子
漆原 直人
福本 弘二
谷 守通
鈴木 孝明
松岡 尚則
福澤 宏明
長谷川 史郎
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会
- 雑誌
- 日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.6, pp.760-763, 2007-10-20 (Released:2017-01-01)
- 参考文献数
- 8
症例は10歳男児.自転車で走行中転倒した際ハンドルで右下腹部を強打し,同部に膨隆が認められたため当院を受診.右下腹部に手拳大の膨隆と圧痛を認め皮下に腸管を触知した.腹部CTにて遊離ガス像や臓器損傷はなく,右傍腹直筋部の皮下に小腸の脱出を認めた.臥位安静にて右下腹部の膨隆は消失するが腹圧にて再発するため,外傷性腹壁ヘルニアの診断にて全身麻酔下に手術を行った.右傍腹直筋切開で皮切を行うと,右腹直筋鞘外縁で腹壁が断裂しておりSpigel herniaと診断した.ヘルニア門は弓状線の高さから尾側へ約7cmの長さで存在し,腹腔内臓器の損傷はなく,腹壁の修復は各層で直接縫合し得た.術後2年経過し,再発は認めていない.小児の外傷性腹壁ヘルニアは稀で,検索し得た範囲内で自験例は外傷によるSpigel herniaの本邦報告例中最年少であった.