著者
鈴木 恭子 八木 佳子 小林 あゆみ 矢本 真也 福本 弘二 渡邉 誠司
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-24, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
8

重症心身障がい児(以下、重症児と略)は、栄養管理上の問題点を多く抱える。栄養摂取経路は、摂食・嚥下障害のため経管になるが、経鼻胃管の例もまだまだ多く、ましてや長期間経腸栄養剤のみで管理されてしまう例も少なくない。近年、胃瘻を積極的に導入し、同時に、ミキサー食推奨の報告も多くなってきた。ミキサー食は、重症児によくみられる消化器症状や、食後高血糖にも効果があるほか、経腸栄養剤で不足しがちな微量栄養素や食物繊維の補給などにも有効である。また、糖質のコントロールや食物アレルギーの対応なども自在に行える。液状栄養剤と異なり、児に負担をかけず短時間注入も可能である。重症児の健やかな発育を援助し、胃瘻からのミキサー食のメリットを生かすには、管理栄養士による指導が不可欠である。
著者
川島 章子 漆原 直人 福本 弘二 谷 守通 鈴木 孝明 松岡 尚則 福澤 宏明 長谷川 史郎
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.760-763, 2007-10-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

症例は10歳男児.自転車で走行中転倒した際ハンドルで右下腹部を強打し,同部に膨隆が認められたため当院を受診.右下腹部に手拳大の膨隆と圧痛を認め皮下に腸管を触知した.腹部CTにて遊離ガス像や臓器損傷はなく,右傍腹直筋部の皮下に小腸の脱出を認めた.臥位安静にて右下腹部の膨隆は消失するが腹圧にて再発するため,外傷性腹壁ヘルニアの診断にて全身麻酔下に手術を行った.右傍腹直筋切開で皮切を行うと,右腹直筋鞘外縁で腹壁が断裂しておりSpigel herniaと診断した.ヘルニア門は弓状線の高さから尾側へ約7cmの長さで存在し,腹腔内臓器の損傷はなく,腹壁の修復は各層で直接縫合し得た.術後2年経過し,再発は認めていない.小児の外傷性腹壁ヘルニアは稀で,検索し得た範囲内で自験例は外傷によるSpigel herniaの本邦報告例中最年少であった.