著者
堀 秀行 田邊 樹郎 福留 みのり 川崎 勉 出田 秀尚
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1369-1373, 2006-08-15

目的:中心窩下の脈絡膜新生血管に対して行った光線力学療法と,これにトリアムシノロンアセトニド40mgのテノン囊下注射を併用した3か月後の効果の比較。対象と方法:過去8か月間に,中心窩下の脈絡膜新生血管に対して光線力学療法を行った68例68眼を対象とした。51眼には光線力学療法のみを行い,17眼にはトリアムシノロン注射を併用した。結果:両群の間でlogMAR視力と中心窩網膜厚の変化量に有意差はなかった。病変部最大直径の減少量は,光線力学療法単独群よりもトリアムシノロン併用群のほうが有意に大きかった(p<0.01)。結論:中心窩下の脈絡膜新生血管に対する光線力学療法の3か月後の評価では,これ単独よりも,トリアムシノロンのテノン囊下注射を併用したほうが病変の大きさを減少させる効果が大きい。
著者
所 敬 山崎 斉 川崎 勉 奥山 文雄 大頭 仁 上川床 総一郎 百野 伊恵
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究の目的は,視標の移動方向が前後方向,水平方向の2方向に移動でき,呈示時間が設定できる動体視力装置を開発することにあった。この3要素を設定できるので3次元動体視力計と名付けた。この装置の特徴を以下に挙げる。(1)視標速度は市販の機器よりも広い範囲で可変であり,静止〜100Km/hまで前後と水平方向の両方向で7段階に設定できる。(2)視標呈示位置は前後方向70〜4m,水平方向±2.0度である。(3)短時間呈示は1/1000〜1secまて7段階に設定できる。(4)これら以外に視標サイズは4種,色は白,赤,緑,青,黄の5種,背景照度は0.1〜200cd/m^2まで8段階まで設定できる。この装置を制作し,調整を行い上記の性能を得ることを確認した。さらにこの装置を用いて測定をしたところ,前後方向の動体視力は視標速度を静止から100Km/hまで変えると低下することがわかった。背景輝度の影響は,背景輝度を0.3から200cd/m^2まで変えることで得られ,動体視力は輝度が0.3cd/m^2から100cd/m^2まで増加するが200cd/m^2では減少することもわかった。今後の課題は,高速道路の交通眼科や航空医学への応用を計るために,視標速度をさらに150Km/hまて向上させる必要がある。また,環境が動体視力に与える影響が大きいため,視標の種類,背景,背景照度などを考慮する必要がある。この装置は今後,眼精疲労や交通眼科の問題解決に役立つ機器である。